農業研究本部

バレイショ新品種「ゆきつぶら」の育成

バレイショ新品種「ゆきつぶら」の育成

池谷聡、藤田涼平、入谷正樹、伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、大波正寿、土屋俊雄、兼平修

北海道立農試集報.95,13-24 (2011)

 「ゆきつぶら」は早生で白肉のジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する生食用バレイショ新品種である。2005年に北海道立北見農業試験場で育成された。「ゆきつぶら」の収量性は、日本の生食用主要品種で、早生白肉でジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有さない「男爵薯」より高い。「ゆきつぶら」の塊茎は、形が扁球で皮色が白黄であり、「男爵薯」より目が浅い。「ゆきつぶら」は中心空洞と打撲後黒変が「男爵薯」より少ない。「ゆきつぶら」の調理後の肉質は紛失で、水煮後の煮崩れと黒変が「男爵薯」より少ない。「ゆきつぶら」は「男爵薯」と同様、サラダやコロッケのような業務加工食品に適する。
 日本において生食用バレイショは、早生白肉でジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し業務加工食品に適する事が重要である。「ゆきつぶら」はそれらの特性を兼ね備えた初めての生食用品種である。「ゆきつぶら」が北海道において広く栽培され、「男爵薯」の一部に置き換わることが期待される。


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