農業研究本部

集団的取り組みによる水稲クリーン農業の展開とその経営評価

白井 康裕

北海道立農試集報.84,73-82 (2003)

 クリーン農業の実践が,地域農業に与えた影響とその効果の解明を目的に,先進地における経営実態の調査を実施した。水稲クリーン農業に集団として取り組んだことで,栽培技術や資材費用が適正な状態に平準化し,産地全体が高い技術レベルになっていた。また,環境保全型農業を展開するにあたって問題とされてきた「収量の不安定性」や「農業所得の低下」は確認されず,水稲のクリーン農業は所得形成面で高い収益力を持っていることが示された。ただし,水稲クリーン農業の成立には,価格面における支援と基本技術の励行が不可欠であることから,今後もクリーン米の更なる有利販売に努めていくことと,発生予察のように作業性の面でもメリットが生じる技術を開発していくことが必要となる。


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