農業研究本部

水稲新品種「ふっくりんこ」の育成

田中一生、尾崎洋人、越智弘明、品田裕二、沼尾吉則、宗形信也、萩原誠司、前田博、佐々木忠雄、本間昭、吉村徹、太田早苗、鴻坂扶美子

北海道立農試集報.92,1-12 (2008)

 「ふっくりんこ」は1993年に中央農業試験場で交配された「空系90242B」と「上育418号(ほしのゆめ)」 との雑種後代から道南農業試験場で選抜,育成し,2003年2月に北海道の優良品種に認定された。出穂期は「きらら397」より遅い“晩生の中”,成熟期は“晩生の早”である。稈長・穂長は「きらら397」より長く,穂数は多く,草型は“穂数型”である。穂ばらみ期の耐冷性は「きらら397」に優る“強”,開花期耐冷性は明らかに優る“極強”,遅延型耐冷性は優る“強”である。いもち病の圃場抵抗性は葉いもち,穂いもちともに“やや弱”で,「きらら397」にやや劣る。耐倒伏性・玄米収量は「きらら397」並である。玄米品質,検査等級も「きらら397」並である。白米のタンパク質含有率は「きらら397」よりやや低く,食味は明らかに「きらら397」に優る。本品種を「きらら397」の一部に置き換え道南南部地域を中心に普及することで,道内の中生種の作付け偏重を是正し,北海道米の安定生産・品質および食味の向上を図る。


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