農業研究本部

種ばれいしょ圃場周辺に存在するウイルス罹病株の感染源としての危険性

青木元彦、佐々木純

北海道立農試集報.92,73-77 (2008)

 種ばれいしょ栽培におけるウイルス罹病株の危険性を調査するため,ウイルス罹病株約400株を種ばれいしょ圃場から20~80m離れた場所に設置し,次代塊茎のウイルス感染率を調査した。圃場では,植え付け時の粒剤施用,6月上旬以降の7~10日間間隔の殺虫剤の茎葉散布及び8月上・中旬に茎葉処理を行ったにも関わらず,次代塊茎にウイルス感染が最大で約2%認められた。このことから,種ばれいしょ栽培においてはウイルス罹病株が圃場付近に存在すると,殺虫剤によるアブラムシ類の防除や茎葉処理を実施しても完全にはウイルス感染を防止できないと考えられた。そのため,ウイルス感染防止対策としては,ウイルス罹病株や野良ばえ等のウイルス保毒源となる作物体の除去,ウイルス保毒の可能性のある作物からの隔離が最も重要である。


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