農業研究本部

果樹凍霜害防止に関する試験
第5報 ブドー枝の捻転が枝形および耐凍性に及ぼす影響

赤羽 紀雄、山崎 健

北海道立農試集報.3,63-70 (1958)

 ブドーの冬期耐凍性増強のための一手段として、新梢を基部で90度捻転した場合、枝形、形成層活動、耐凍性などについての関係を検討した。  寒地においては、一般にブドーの新梢における形成層活動は8月上旬を頂点として8月中旬後、急に緩慢となるが、9月中旬で、再びやや盛んになる傾向がある。このことは年度及び品種によって程度の相違はあるが、9月中旬の形成層活動が、さかんなほど停止期が遅れて、耐凍性獲得のためにはこのましくない。しかし8月中旬に新梢を基部で90度捻転誘引すると8月下旬乃至9月上旬で、一応活動は停止できる。捻枝すると枝の横断面は丸味を帯びて髄形も変化する。枝の横断面について耐凍性をみると長径部は短径部より弱く、円形になると平均20~35%程度の耐凍性の増強をみた。つまり90度捻転によって枝形をして丸味を帯びさすことが耐凍性を増強させる一方法であり、従来の剪定法の正しかったことが裏付けされた。なお、捻転の時期及び捻転の強度については、今後さらに検討の要はあるが、捻転の時期は形成層活動の最盛期(8月上旬)とし、捻転の強度は90度が最もよいと考えられる。


全文(PDF)