農業研究本部

根釧地方火山灰地における牧草地土壌の理化学的特性とその施肥法に関する試験
第2報 採草用主要牧草の肥料適量試験

早川 康夫、橋本 久夫

北海道立農試集報.4,20-44 (1959)

 根釧地方火山灰地に於ける採草用主要牧草のうちチモシー、オーチャードグラス、マウンテンブロームグラス、赤クロバー及びアルファルファについて施肥適量を決定するために、窒素、燐酸、加里各1.88、5.63、11.25kgを組合わせ3の3乗すなわち27区とし昭和31年から3カ年にわたり、生育及び収量を調査した。その結果 

1.禾本科牧草は播種当年のみ、麦類と同様に燐酸を多用して初期生育の促進を図るべきであるが、爾後燐酸を控え窒素、加里に重点をおいた施肥設計を樹てるべきで特に窒素施用量の多少は直接収量を左右し、また牧草は加里吸収量が多くしばしば激しい加里欠乏に陥るので、これを充分施用しておく必要がある。このような傾向はチモシーが最も著しく、オーチャードグラス、マウンテンブロームグラスではやや劣り、その代り燐酸の肥効は2年目に為いてもなお認められ、また加里欠乏の被害もチモシーほど激しくない。
2.これに対し荳科牧草、特に赤クロバーは根瘤菌により窒素を自給し得るので、窒素施用を必要とせぬばかりでなく1.88kg以上与えるとかえって害作用が現われた。従って専ら燐酸と加里を重点に施肥設計を樹てるべきであるが、特に加里は耐用年限の延長に卓効があった。アルファルファは再生力が甚だ強く利用価値の高い牧草であるが、当地方のごとき条件の下では品種の選定、地力培養、石灰施用等に完壁を期さないと失敗に帰すことが多い。


全文(PDF)