農業研究本部

根釧地方火山灰土壌中における燐酸の行動
第3報 燐酸の多用に伴う加里欠乏症の発現について

早川 康夫、奥村 純一

北海道立農試集報.12,11-22 (1963)

 根釧地方の新墾地火山灰土壌は、一般に燐酸が極端に欠乏し、加里は割合多いもの である。しかし経年畑では、特に牧草のように加里奪取量の大きい作物、あるいは、 永年草地の跡地作物には、逆に燐酸の多用によって加里欠之を助長し、かえって減収を招来することがある。この原因について調査した結果、燐酸を多用すると、1)作物生育の促進、2)アロフェンと結合して、Taranakiteよう燐酸塩が生成され、このものが間接的に加里固定をする、または、1)、2)の両者、すなわち不可給態化を免れた僅少の加里量では促進される作物の生育に随伴しえない、などの理由で本現象が発現す るものと推定された。  従って、このような圃場に対する施肥法は、燐酸をおさえ窒素、加里を主体とする か、燐酸を多用するときは必ず加里も増肥すべきである。


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