農業研究本部

田畑輪換における作付方式と乳牛規模の決定について
線型計画法の適用

山本 晃一、千葉 誠

北海道立農試集報.6,1-10 (1960)

 当農場の経過、34年以降目標としている経営計画、ならびに線型計画法による経営設計の結果を比較すると、輪換畑期間は当初3カ年の計画であったが、さきに農場 の経過でみたように実際には2~3年が多い。これは線型計画の結果からみて適切であったといえよう。牧草収量の増加に伴なう輪換作付方式として34年より輪作(3) の方式に整理しつつあるが、この場合の線型計画の結果も輪作(3)のみであり、この点も一致している。  次に乳牛飼養頭数についてみると、当農場では昭和33年まで2頭、34年に当初目標とした3頭に達したが、線型計画法による結果では4頭以上を要求している。す なわち今後の方針として輪換方式を輪作(3)に統一してその面積を拡張し、搾乳牛の飼養規模も拡大して4頭以上とすることが、より多くの利益をあげる経営設計である ことが示された。  しかし上述の線型計画では、牧草を除く作物の生産水準の変動を考慮していない。 特に乳牛と競合する水稲の生産水準は技術改善により増加しうることも可能であり、 実際にも技術改善を行ないつつある。従ってこの結果を適用するに当っては、こうした与件の変動を考慮して適切な経営の設計を行なわなければならないと考えられる。 また当農場で適用した線型計画の内容にも検討を要する点があり、今後は更に修正を 加えて、実際の経営設計に適用していきたいと考えている。


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