農業研究本部

北海道におけるアカザモグリハナバエの生活史に関する研究
第1報 野外における周年経過

奥 俊夫

北海道立農試集報.8,49-58 (1961)

 1958~1960年に札幌市においてアカザモグリハナバエの発生経過について 調査し、次の結果を得た。 

1.産卵は5月中旬に始まり、まずアカザに多く見られ、てん菜には本葉がある程度 生長してから多くなった。
2.年間の世代数は3~4回で、発生経過の遅れた年は3化に終わるが、経過が早い ほど秋に4化期の発生が多くなる。
3.てん菜に対する産卵はある程度以上成熟した葉に見られ、稚葉や老葉には見られ なかった。株当り産卵数は世代を重ねるにつれて増加したが、作物が生長するの で、単位葉面積当り産卵数では2化期よりも1化期の方がはるかに多かった。
4.卵捕食虫の活動は7~8月に最も盛んであった。若令幼虫の死亡は7~8月に目立ったが、病虫害によって作物の弱った圃場に多いように思われた。
5.てん菜においては1化期の防除が重要であるが、被害回避の目的で遅播きすることは不利と考えられる。ホウレンソウの周年栽培において、秋期には年によって 被害を免れる可能性がある。


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