農業研究本部

亜鉛欠乏に起因する玉ねぎの生育障害

南 松雄、古山 芳広、土居 晃

北海道立農試集報.23,20-30 (1971)

 富良野地方の玉ねぎ栽培地帯に発生している葉の黄白化、カール状化、小葉化などの特異的な症状を呈する生育異常現象について、その実態調査と要因解析を行なった結果、生育障害の主要因は亜鉛欠乏によることが判明した。  生育障害を呈する玉ねぎは健全なものに比して、玉ねぎ体内の微量要素のうち、とくにZn濃度が16ppm以下で異常に低く、同時にNi濃度は20ppm以上で高く、 Zn/Ni比も1以下であった。  また、障害発生地域の土壌中の0.1N-HCl可溶Zn含量は10ppm以下で低く、玉ねぎ 茎葉中のZn濃度との間にきわめて高い正の相関(r=0.950**)が認められた。亜鉛の施用によって、これら生育障害発生の程度が著しく軽減され、その改良対策としては、 ZnSO4(Zn0.2kg/a)の土壌施用および0.2%ZnCl2溶液による苗浸漬が有効である。


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