農業研究本部

寒地水稲の窒素代謝に関する研究
第3報 低温、遮光処理と窒素追肥の相互影響

多賀 辰義、岩淵 晴郎

北海道立農試集報.27,54-64 (1973)

 寒冷地水稲栽培上、施肥面で特に影響の大きい窒素施肥について、低温や遮光条件 下における窒素追肥の影響を生育、収量性および水稲体内栄養組成面からポット試験 によって解折した。  幼穂形成期の低温および低温+遮光処理は生育を抑制、遅延し、低温前後の窒素追 肥は生育をおう盛にするが生育の遅延を助長した。特に低温前窒素追肥でこの傾向が 大きかった。また、低温処理は全窒素濃度の低下と全水溶性窒素濃度を高める作用を し、炭水化物濃度を高めた。しかし、低温+遮光および低温前後の窒素追肥は全窒素 および全水溶性窒素の増加と炭水化物濃度の顕著な低下を示した。  この結果、特に低温前窒素追肥は窒素増肥と同様に生育遅延傾向を一層強めること になり、この時期の追肥には十分な配慮が必要と考えられる。


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