農業研究本部

春播きタマネギの育種に関する研究
1.北見地方における「札幌黄」の系統分化について

宮浦 邦晃、山木 貞一、越智 弘明

北海道立農試集報.39,34-41 (1978)

 北海道北見地方と道央地方の「札幌黄」在来系統を収集、比較して、北見地方にお ける系統分化と適応性の程度を検討した。  その結果、道央地方の系統に比較して、北見地方では早晩生についての系統間差は 小さいが、道央地方より早生化の傾向が認められた。また、北見地方の系統には、安 定した多収性を示す優良な晩生系統は認められず、道央地方で多収を示す代表的な晩 生系統も北見地方では年次による変動が大きく不安定な収量性を示した。  このことは、北見地方では、晩生系統は正常な倒伏を示さない青立球が多くなりや すく、同時に軟腐病を主とする病害に罹病しやすいためと思われる。  従って、北見地方に適し、安定した多収性を示す品種を育成する場合、晩生化によ る多収を期待することは難しいが、生育遅延の年でも青立が少なく軟腐病について耐 病性を保持した系統を選抜することが最も重要と思われる。


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