農業研究本部

寒地直播イネの生育相に及ぼす後期窒素供給の効果

竹川 昌和、森脇 良三郎

北海道立農試集報.44,79-89 (1980)

 北海道の直播イネの収量規制要因のひとつは分けつの無効化と一穂粒数の少ないことである。これと直播イネの窒索吸収様式の関係について水稲品種「イシカリ」を供試し、直播区と移植区を設けl975年から4ケ年検討した。  その結果、直播イネの発根力、根量および乾物重、LAIは移植イネに劣らず、受光態勢も良好であった。ところが根の分布は表層に集中し、活動根圏が狭く、生育後半の窒素の総吸収量は移植イネより少なかった。  この現象は15Nを利用して分析した結果、幼穂形成期以後の地力窒索の利用か低下したことにより生じたものと思われ、このことが直播イネの有効茎歩合が低いこと、一穂粒数が著しく少ないことの主因と考えられた。直播イネは最終的に移植イネより5%低収であった。  これに対しイネわらを連用して後期養分を供給し生育後半の窒索吸収を増加させると止葉期窒索追肥の効果と同様に一穂粒数の増加と分けつの有効化登熟の良化によって9%増収した。


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