農業研究本部

台地重粘土水田の低収要因解析

橋本 均、松原 一實、大垣昭一

北海道立農試集報.49,49-60 (1983)

 台地重粘土(疑似グライ土)水田の水稲低収要因について、強粘質、排水不良の面で土壌的に類似する低地土(灰色低地土)水田と比較検討した。  重粘土水田の水稲生育は低地土水田に比ベ、初期生育不良で短桿少けつに推移し、稔実粒数が不足して低収になっている。前者は母材や堆積様式に起因して、土壌の理化学性が後者より劣り、特に有効養分が少く固相率も大きい。さらに湛水期の地温が低く土壌還元も強い。従って、これらの不良な理化学性が水稲の生育を全期にわたって抑制し、収量を低下させる主要な土壌的要因と考えられる。  とくに、後半の生育が停滞する理由として上述の要因の他に、下層土からの窒素供給が低地土水田に比べ著しく劣ることが判明した。この原因としては、下層土は有効養分が欠乏しかつ土壌硬度が極めて大きいため、根の伸長か阻害されるためと椎定される。従って、下層土の不良な理化学性も収量を低下させる一因と考えられる。


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