農業研究本部

免疫電顕法によるインゲン種子からのインゲンモザイクウイルスの検出

萩田 孝志、玉田 哲男

北海道立農試集報.51,83-94 (1984)

 免疫電顕法は,汁液接種法に比べ,100~1,000倍まで低濃度のウィルスが検出でき,定量も可能であった。インゲン種子からのウイルス検出率は,種子伝染率に近い値を示した。保毒種子ではウイルス濃度は異なるが,全て胚中にウイルスが検出された。子葉にウイルスが検出された種子は全て発病したので,胚中のウィルスが種子伝染による発病を生じることが示された。保毒種子の場合,子葉および胚中のウィルス濃度は,未熟種子よりは完熟種子が高く,種皮中のウィルス濃度は未熟種子より低かった。未熟種子の種皮中から高率に検出されたウィルスは,種子の完熟の過程で減少したが,胚に存在するウイルスは種子の成熟,乾燥による影響を受けなかった。健全種子に保毒種子を混ぜ,ウィルスの検出を行った結果,0.1%(重量比)の保毒種子が混在した場合全て検出できた。従って,免疫電顕法は病徴判定に比べると,短時間で,より少ない労力で,保毒種子の検出を可能にした。


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