農業研究本部

アズキ落葉病抵抗性の育種学的研究
II.品種間差の成立経過

千葉一美

北海道立農試集報.52,79-84 (1985)

 1976年と1977年の2ヵ年にわたり,前年は外部形態を,後年は植物体内における病勢の伸展状況を調査した。本病の伝染は主として土壌に生息する菌によって起こるが,病土における根の褐変は6月中旬ごろから観察され,褐変程度の品種間差は9月上,中旬に至り顕著となった。根部,地上部の生育も同様に9月に至り品種間差が明らかとなった。葉の萎凋,枯死等の症状は8月中旬ごろからみられ,根部の褐変状況とは直接的な関係はないものと思われた。本病菌は根部から侵入し,維管束を通じて茎上部に伸展するとされているが,茎部切断面の経時的な調査の結果,感染時期に品種間差は認められず,被害程度の品種間差は茎内部における病勢の伸展速度の差によっていることが明らかになった。


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