農業研究本部

ばれいしょ新品種「粉無双」の育成について

村上 紀夫、松永 浩、千田 圭一、奥山 善直、入谷 正樹、浅間 和夫、三井 康、清水 啓

北海道立農試集報.68,1-16 (1995)

 「粉無双」(根育26号)は北海道立根釧農業試験場において、北海道に適するジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、でん粉重の多い品種を目標に育成された新品種である。こうでん粉価でジャガイモYモザイク病抵抗性の「コナフブキ」を種子親、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性で高でん粉価の「トヨアカリ」を花粉親として、1983年に人工交配し、以降選抜を図ってきたものである。1994年8月に農林水産省の新品種に認定され「粉無双」(「ばれいしょ農林34号」)として命名、登録され、北海道の奨励品種となった。  「粉無双」は晩生に属し、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性主働遺伝子H1を持ち、パソタイプRo1にたいする抵抗性は強で、土壌中のセンチュウ密度を減らすことができる。でん粉価は「コナフブキ」を上回り、でん粉重は「紅丸」及び「コナフブキ」より多収である。でん粉特性の最高粘度は「紅丸」より高く「コンフブキ」より低い。また、疫病圃場抵抗性は「紅丸」及び「コナフブキ」よりやや強く、疫病による塊茎腐敗抵抗性はやや強である。さらに、ジャガイモYモザイク病に抵抗性である。適地は北海道一円であり、栽培見込み面積は5,000haである。


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