異なる移植方式における水稲側条施肥の窒素肥効
今野 一男、宮森 康雄
北海道立農試集報.72,1-9 (1997)
水稲側条施肥の窒素肥効について、ペ-スト肥料を用いる中苗マット苗移植方式と粒状肥料を用いる成苗ポット苗移植方式をとりあげ、慣行および無代かき栽培条件で比較検討した。出穂期以降のみかけの窒素利用率は、慣行、無代かき栽培とも中苗マット方式のペ-スト肥料が成苗ポット方式の粒状肥料よりも高かった。また、これらを全層施肥と比較した場合でも、中苗マット方式では高く、成苗ポット方式では同程度かやや低い傾向を示した。一方、精玄米重は出穂期の窒素保有量と密接な関係を示し、窒素保有量が同じであればいずれの場合も同程度の精玄米重が得られた。このことは、玄米生産に対する側条施肥の肥効が主として出穂期における窒素利用率で評価できることを示すものである。以上のことから、側条施肥の効率的導入を図るためには、肥料の形状なども考慮した移植方式別の窒素施肥指針が必要と考えられた。
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