つる枯病
病害(かび)
症状の特徴
1)葉部では、葉縁部から葉脈間にかけて褐色の扇形ないしくさび形の大型病斑が生じる(写真1)。この病斑の周りは不規則な淡黄色に縁取られる。
2)やがて病斑が葉全体広がると、葉が巻き上がり枯死する(写真2)。
2)まれに果実に病徴が現れる。写真3では花痕部に周縁が水浸状の淡黄色の病斑が生じている。
4)茎では、はじめ油浸状の病斑が現れ、ヤニ状の粘着物が生じる(写真4)。
5)やがて表面が黄褐色〜灰白色に変化してくぼみ、乾いた感じとなり、病斑上に黒色の小粒点が密生してくる(写真5)。この黒色小粒点の大部分はつる枯病菌の柄子殻(写真6)であり、蛸壷状に形成される。成熟したものでは水に当たると瞬時にして開口し(写真7)、中から柄胞子が水中に無数噴出される(写真8)。
6)病斑が古くなると、黒色小粒点が極めて密に発生し、病斑全体が黒く見える(写真9)。この黒色小粒点には柄子殻に混じって病原菌の完全世代である子のう殻が存在する。子のう殻の中には子のう胞子を内包する子のう(写真10)が詰まっている。
7)参考までにつるの病斑から検出されたつる枯病菌(Didyme11a属)の菌叢(菌の塊)を示す(写真11)。
発生しやすい条件
1)高温多湿条件下で発病しやすい。
2)露地では降雨後に発病しやすい。
3)ハウスでは透過性の悪い古い被覆資材からの水滴により蔓延することがある
4)連作圃場で発生が多い。
紛らわしい障害(関連の障害参照)
・リン欠乏でも葉部に大型の壊死斑が現れる。
・軟腐病でも暗緑色水浸状の病斑が茎に生じるが、つる枯病でみられるようなヤニ状の粘着物や黒色小粒点(柄子殻)は生成しない(写真)。また、軟腐病では強烈な悪臭を放つ。