農業研究本部

微量要素の欠乏症状

ホウ素欠乏

症状の特徴

1)生育初期のホウ素欠乏では新葉の葉先がやや枯れるものの、生長は停止しない(写真49)。

2)やがて上位葉の一部の葉には葉身部が大きく切り裂けた症状が観察される(写真50)。

3)中位葉には葉身裏側の主脈(中肋)付近が白色化する症状が現れる(写真51)。

4)また、中位葉の一部の葉身には亜鉛欠乏症(写真46)と思われる赤褐色斑点が発現する。

5)生育中期以降のホウ素欠乏でも初め新葉の葉先に奇形を生じる(写真52)。さらに欠乏が続くと銅欠乏と同様に、中下位葉にはリンの過剰供給で誘発されたカリウム欠乏症(写真31)に類似した葉先縁枯れ症状が現れ、葉中のリン濃度の上昇とカリウム濃度の低下が起きる(写真53)。

6)ホウ素欠乏の雌穂には著しい不稔障害が見られる場合がある(写真54)。

発生しやすい条件

1)土壌乾燥時に発生しやすい。

2)ホウ素が溶脱しやすい砂質の土壌でよく見られる。

3)土壌pHが高く、ホウ素が不可給化した圃場に発生する。

4)ダイコン、カブなどのホウ素要求性の高い作物を栽培した跡地は、土壌中のホウ素が減少している。

ホウ素欠乏の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図16~31KB)


先端の枯死(新葉)
写真49 新葉の先端部が枯死する。(4葉期 −B3週目)



大きく裂ける(上位葉)
写真50 上位葉の一部の葉身が大きく切り裂ける。(4葉期 −B5週目)



主脈裏側の白色化(中位葉)
写真51 中位葉の葉裏の主脈(中肋)付近に白色化症状が発現する。
(4葉期 −B6.5週目)



葉展開不全と葉縁の奇形(新葉)
写真52 新葉は葉の展開が不良となる。葉縁が切り込み状に裂ける症状を発現する。
(9葉期 −B1.5週目)



葉先縁枯れ(中下位葉)
写真53 中下位葉に発現した葉先縁枯れ症状
(リン濃度が上昇しカリウム濃度が低下する)。(9葉期 −B4週目)



著しい不稔
写真54 著しい不稔障害が観察される。(9葉期 −B6.5週目)

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