【普及奨励事項】
PCP剤によるりんごモニリア病 子実体発生防止に関する試験成績
           道立中央農業試験場園芸部江部乙りんご試験地

・ 目的
 りんごモニリア病子実体発生防止のため従来はPCP剤が使用されている。しかしPCP剤の散布時期により防止効果が異なるので、効果的な散布時期を検討する。

・ 試験方法
 1. 樹令40〜45年生の国光、紅玉の主体の全面草生園で、前年(昭和40年度)にモニリア病の多発した園を供試した。
 2. 供試園の前年におけるモニリア病被害率は、実ぐされ被害率26%、葉ぐされ、花ぐされ被害率20.7%
 3. 処理方法

・ 試験結果の概要
 モニリア病子実体の発生防止のためPCP剤の地上散布は従来の散布期である融雪後20日頃の散布に比較して融雪期の散布の効果が非常に高いことが認められた。

・ 主要成果の具体的データー
 (昭和41年度)
処理別 10a当りの
PCP成分量
調 査
菌核数
発 芽
菌核数
子実
体数
子実体のType 枯死子
実体数
調査
月日
融雪期散布 1kg 32 1 2 0 0 2 0 0 9 5.13
35 0 0 0 0 0 0 0 0 5.16
43 0 0 0 0 0 0 0 0 5.21
2kg 45 0 0 0 0 0 0 0 15 5.13
27 0 0 0 0 0 0 0 0 5.16
21 0 0 0 0 0 0 0 0 5.21
融雪20
日後散布
P粒 1.05kg 54 20 72 16 9 13 16 18 14 5.16
33 13 22 0 0 2 9 11 16 5.21
P粒 1.05kg 41 11 85 0 5 11 20 49 25 5.16
48 11 16 0 0 17 2 7 9 5.21
無散布 63 45 155 63 36 18 18 20 0 5.13
38 25 116 29 28 16 16 27 0 5.16
88 65 148 52 32 32 18 14 16 5.21
  注意)数値は各区共50cmkg方5ヶ所の合計数で示した。
      調査菌核数は調査時において越冬菌核と確認できるもののみ記録した。

・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 1. PCP剤のうちPCP肥料を用いるときは、肥料成分に注意して用いること。
 2. PCP剤の地上散布により、樹上散布を怠ることなく必ず行うこと。
 3. 1回目の散布は融雪期に行うこと。