【普及奨励事項】
りんごの新殺だに剤に関する試験成績 道立中央農業試験場園芸部江部乙りんご試験地 |
・ 目的
新殺だに剤の殺虫効果、持続性を検討する。
・ 試験方法
1. 圃場単用試験苗木を用い(デリシャス3年生)1区2樹、散布前後における寄生成幼虫を1樹当り10葉を任意にとり調査。
2. 圃場混用試験
苗木を用い(デリシャス3年生)1区1樹とし、25-10式ボルドー液に混入し、1時間後に散布した。散布前後に1樹20葉を任意にとり調査した。
3. 夏卵殺試験(室内試験)
無寄生の新梢(デリシャス)をとり1枝当り3枚にし、成虫を3-4日放飼産卵させ、成虫を除去後、薬液に5秒間浸漬し、室内で新梢を瓶にさし、孵化させ、無処理の卵が孵化完了後調査した。
4. 実用効果試験
1区18アールを供試しSSで散布し、2樹を調査樹に選定し、1樹当り20葉を10〜15日ごとに寄生虫数を調査し、激増の場合には再散布した。
・ 試験結果の概要
ガルエクロン1500倍、および2000倍の殺虫、殺卵効果は、従来使用されている殺ダニ剤より優れ、長期間にわたってりんごはだにの増殖抑制が認められる。ボルドー液混用によっても効果の低減は認められず、単用、混用ともに薬害の発生は認められなかった。
・ 主要成果の具体的データー
(昭和41年度)
圃場試験(単用散布)
薬 剤 名 | 濃度 | 20葉当り寄生虫数 | ||||
散布前虫数 | 散布後虫数 | |||||
2日 | 10日 | 20日 | 30日 | |||
ガルエクロン | 1500 | 154 | 0 | 0 | 7 | 26 |
〃 | 2000 | 130 | 0 | 0 | 11 | 31 |
ケルセンE40 | 2000 | 153 | 0 | 0 | 17 | 63 |
無 散 布 | − | 112 | 222 | 355 | 338 | 734 |
薬 剤 名 | 濃度 | 20葉当り寄生虫数 | ||||
散布前虫数 | 散布後虫数 | |||||
2日 | 5日 | 10日 | 20日 | |||
ガルエクロン | 1500 | 131 | 0 | 0 | 1 | 16 |
〃 | 2000 | 202 | 2 | 0 | 0 | 8 |
ケルセンE40単用 | 2000 | 182 | 0 | 0 | 5 | 41 |
無 散 布 | − | 149 | 201 | 496 | 120 | 96 |
薬 剤 名 | 濃度 | 第1回 | 第2回 | 平 均 未孵化卵 (%) |
||||
供試 卵数 |
未孵化 卵数 |
未孵化 卵(%) |
供試 卵数 |
未孵化 卵数 |
未孵化 卵(%) |
|||
ガルエクロン | 1500 | 105 | 96 | 90.4 | 97 | 91 | 93.8 | 92.1 |
〃 | 2000 | 114 | 102 | 89.4 | 105 | 90 | 85.7 | 87.5 |
ケルセンE40 | 2000 | 92 | 80 | 86.9 | 31 | 64 | 79.0 | 82.9 |
無 散 布 | − | 142 | 12 | 8.4 | 110 | 16 | 14.5 | 11.4 |
・ 奨励又は指導参考上の注意事項
1. りんごはだにの薬剤抵抗性対策として従来の殺だに剤と同様に連用はさける。
2. ガルエクロンとボルドー液との混用か可であり、混用してもりんごはだにの防除効果は高い。
3. ガルエクロンのりんごはだにに対する有効と認められる実用濃度は1500倍である。
4. ガルエクロンの人畜毒性は、マウス経口毒性L.D50=320kg/mgで低いが、散布にあたっては、人畜にかからないように注意すること。