【普及奨励事項】
根釧地方における牧草草地造成初年目の効率的利用試験
(1年生飼料作物導入時における、草種、刈取回数、播種量、施肥量の検討)
道立根釧農業試験場・土壌肥料科

・　目的
　根釧地方において草地造成に当たっては、永年利用を目的として、草種の選定、管理を行っている。しかし乳牛の多頭飼育を目標とするには、造成初年目から牧草の高収を図る必要がある。この見地からみると、現在の永年利用可能の牧草は造成当初の収量が低い難点がある。今回は積極的に草地利用の効率化を図るため、1年生の青刈燕麦と、イタリアンライグラスを永年性牧草と混播し、その播種量、N施用量、刈取回数と初年目収量との関連、更に2年目以降の草地生産力に及ぼす影響を検討した。

・　試験方法
　随伴作物 刈取回数 播種量(kg/10a) N施用量
　青刈燕麦
　イタリアンライグラス		 ┐
┘		 × 1回
2		 ┐
┘		 × ┌
└		 0．5．10．20(燕麦)
0．0.5．1．2(IR)		 ┌
└		 0．2．4．6
　　　　　　　　　　　　(IR)
　分割区法3反復(主試験と播種量、副試験とN施用量)
　共通肥料：初年目　P8.0、K8.0
　(刈取ごと)2年目　　N1.0、P2.0、K5.0各10a当
　　　　　　　(PはP2O5の略記、KはK2Oの略記)
　永年利用の牧草として、ラデノクローバとレッドトップを播種
　播種日：40年6月2日
　初年目刈取日：1回刈群8月27日　　2回刈群：第1回目8月9日・第2回目10月16日
　2年目刈取日：第1回6月23日　　第2回7月29日　　第3回8月30日

・　試験成果の概要
　試験成績を要約すると次の如くであった。
導入法処理 播種量、N施用量と収量　　2年目草地への影響
青刈燕麦1回刈群 播種量10kgでN6kg、又は播種量20kgでN4kgがよく、2年目に影響はない。
IR　1回刈群 有利な方法ではない。
青刈燕麦2回刈群 播種5〜10kgでN6kg、又は播種量20kgでN2kgがよい。2年目に影響はない。
IR　2回刈群 播種量0.5kgで、N4kg以内、2年目草地に対する影響があるので上記に止めるべきである。

・　主要成果の具体的データー
　各処理別1・2年牧草合計収量　(風乾重kg/10a)
処理別収量
N用量/
播　　　　種		 燕麦1回刈群 IR1回刈群 燕麦2回刈群 IR2回刈群
1年目 2年目 合計 1年目 2年目 合計 1年目 2年目 合計 1年目 2年目 合計
0 0 114 505 619 114 505 619 282 529 811 282 529 811
2 146 559 705 146 559 705 315 524 839 315 524 839
4 180 552 732 180 552 732 366 507 873 366 507 873
6 159 572 731 159 572 731 338 480 818 338 480 818
5
(0.5)		 0 264 532 796 179 514 693 413 537 950 344 470 814
2 308 558 866 204 532 736 452 549 1001 475 421 896
4 384 585 969 170 518 688 441 527 968 464 423 887
6 389 533 922 210 503 713 517 543 1060 507 368 875
10
(1.0)		 0 345 539 884 162 488 650 500 524 1024 358 455 813
2 364 497 861 186 520 706 479 572 1051 468 453 921
4 406 466 872 227 512 739 505 538 1043 449 465 914
6 548 479 1027 264 401 665 593 536 1129 492 420 912
20
(2.0)		 0 374 517 891 192 506 698 476 499 975 358 486 844
2 348 527 875 227 518 745 569 553 1122 497 490 987
4 514 464 978 238 456 694 549 516 1060 515 391 906
6 578 474 1052 311 409 720 549 511 1060 524 339 863
　　注)播種量の上の数字は燕麦、下の(　)内はIR

・　奨励又は指導参考上の注意事項
　本試験成績の利用に当たっては、従来普及されている造成初年目の燕麦1回刈と対比してみると、燕麦2回刈群とIR2回刈群が有利な方法になるが、IR、2回刈群は前記の如く、播種量、N施用量を考慮しないと、2年目に草地に悪影響を及ぼすことがあるので(他種牧草を圧倒するなど)注意が必要である。