【普及奨励事項】
硬質ポロエチレンパイプ利用による暗渠の施工法と排水効果に関する試験成績
農林省北海道農業試験場 農業物理部 農業土木研究室

・ 目的
 硬質ポリエチレンパイプの利用によって暗渠施工を完全機械化し、従来の排水効果、耐用期間を維持しながら施工能率の向上と経費の節約を計る。

・ 試験方法
 試験ほ場  1. 秩父別①水田L  強可型性
         2.     ②原野高位泥炭
         3. 雄武   草地L  強可型性
 施工能率と経費の調査
  硬質ポリエチレンパイプを弾丸暗渠の作業機に取り付けて穿孔引き込みを行い、弾丸暗渠およびトレンチャーを利用した土管暗渠と能率・経費を比較した。
 排水量調査
  各暗渠は3列ずつ施工し、その中央の暗渠からの流出量を暗渠出口に取り付けた量水器によって測定した。
 その他の調査
  地下水位、土壌水分、地盤変化、地耐力等

・ 試験結果の概要
 1. 硬質ポリエチレンパイプ暗渠は弾丸暗渠に比べて施工能率は若干劣るが土管暗渠に比べれば非常に能率良く、経費の面でも土管暗渠より安くなる。(表-1)
 2. 暗渠からの流出量については硬質ポリエチレンパイプは弾丸より非常に多い。土管に比べれば普通土壌地では大差なく不等沈下のおきやすい泥炭地ではやはり硬質ポリエチレンパイプの方が非常に多い。(表-2)
 3. 暗渠を掘り起こした結果によれば、弾丸暗渠跡は泥炭地においては速やかに収縮して施工後3年目には殆ど閉蓋し、重粘地においても3年目には直径が2〜3cm(当初9cm)になった。しかし硬質ポリエチレンパイプはつぶれたり詰めたりすることなく、もとの形を保った。
 4. 地下水位は土管、硬質ポリエチレンパイプの場合暗渠部が低い形をとった弾丸はこれが明らかでなかった。
 5. 暗渠埋め戻し跡は他の部分に比べて施工初年目は非常に貫入抵抗が小さい(表-3)。2年目、3年目は普通土壌地んいおいてはそれほど明瞭でなくなった泥炭地においては依然明らかであった。

・ 主要成果の具体的データー
 表-1 施工能率と経費
  1ha当り1工程45m 1ha当り1工程90m
能率hr/ha 経費円/ha 能率hr/ha 経費円/ha
硬質ポリエチレンパイプ 3.2 61.930
(9.280)
1.97 58.363
(5.713)
弾     丸 22.4 6.494 1.47 4.263
土     管 69.06 72.750
(36.300)
68.58 72.750
(36.30)
  注) ( )内は施工費のみ、経費は生産連価格

 表-2 各種暗渠の年次別流出量

区   分/
調査年次
暗渠の流出量(L/day) 降雨量
(mm/day)
土管 硬質ポリエ
チレンパイプ
弾丸



39( 4ⅩⅠ〜24ⅩⅠ) 0 0 0 6.3
40( 2/Ⅹ〜16/ⅩⅠ) 11.3 71.5 0 4.5
41(14/ⅩⅠ〜31/Ⅹ) 1219 140.4 30.4 4.1



39(14/ⅩⅠ〜24/ⅩⅠ) 375 809 205 6.3
40( 6/Ⅹ〜10/ⅩⅠ) 282 396 109 3.3
41( 2/Ⅹ〜31/Ⅹ) 557 1.013 0.8 4.5



39( 1/ⅩⅠ〜25/ⅩⅠ) 479 437 3.9 2.8
40( 3/Ⅷ〜15/Ⅹ) 555 698 0 5.7
41(24/Ⅷ〜1/ⅩⅠ) 2.7

 表-3 貫入抵抗(地表から70cmまでの平均)  39.10.7
地区/地点 秩父別① 秩父別②
暗渠直上 1.24kg/cm2 0.92kg/cm2
暗渠と暗渠の中間 4.20  〃 2.16  〃

・ 注意事項
 1. 泥炭地でせん孔後収縮の甚だしいところは、せん孔体と硬質ポリエチレンパイプの外径比を2以上3位にする必要がある。
 2. 礫、埋木のあるところは不適である。
 3. 水間、継手などの接続は可能であるが、その部分の掘削が必要である。
 4. とくに泥炭地に使用して有効である。