【普及奨励事項】
(2) 乳用子牛の早期離乳に関する試験成績 道立新得畜産試験場乳牛科 |
・ 目的
子牛に補給する牛乳を最小限度にとどめて早くから固形飼料を摂取せしめて、第1胃の機能を促進し、粗飼料に依存する安価な育成法を見出そうとする。
・ 方法
雌子牛42頭を用いて、液状飼料の給与量と離乳時期、冬期粗飼料構成と濃厚飼料給与量との関係および早期放牧育成について検討した。
・ 試験成果の概要
(1) 子牛に対して、牛乳を49日令までに160kgをほ乳し、市販品のスターターを7日令から給与を始め、最高日量1.8〜2.2kgまで自由給与にする。スターターを80日令から徐々に育成配合飼料にあきかえ、90日令でスターターの給与を止める。
(2) 乾草は7日令より十分な量を給与し、できるならが若干イネ科(2〜3番)か混播乾草が望ましい。
(3) サイレージは3ヶ月令より少量を給与し、4ヶ月令より量を多くするが、8ヶ月令で5〜6kgほどにする。
(4) 放牧は20日令より標準放牧を行って50日令から昼間放牧とする。夜間は畜舎で乾草を補給する。
(5) 35週令時の体重(計算値)は、ホルスタイン種正常発育値(下限)に対し、乾草、サイレージの場合が9.2%、放牧による場合が97%である。
・ 主要成果の具体的データー
試験Ⅳ 91日令から244日令までの飼料摂取量及び発育
乾草単用群 | 乾草サイレージ併用群 | |
試験開始時体重 | 91.4(kg) | 87.4(kg) |
増 体 量 | 95.0(kg) | 99.9(kg) |
1日 当り増体量 | 0.62(kg) | 0.65(kg) |
体 高 増 加 量 | 15.5(cm) | 19.5(cm) |
胸 囲 増 加 量 | 27.9(cm) | 29.7(cm) |
飼 料 摂 取 量 | ||
配 合 飼 料 | 240.2(kg) | 232.8(kg) |
乾 草 | 478.3(kg) | 394.7(kg) |
サ イ レ ー ジ | 0 | 265.9(kg) |
T D N 摂取量 | 396.9(kg) | 390.0(kg) |
増体1kgに要したTDN | 4.18(kg) | 3.92(kg) |
50日令放牧群 | 36日令放牧群 | |
試験開始時体重 | 42.4(kg) | 43.6(kg) |
増 体 量 | 146.2(kg) | 143.1(kg) |
1日当り増体量 | 0.61(kg) | 0.60(kg) |
体高増加量 | 28.7(cm) | 29.8(cm) |
胸囲増加量 | 51.0(cm) | 49.9(cm) |
飼料摂取量 | ||
乳 牛 | 160.0(kg) | 120.0(kg) |
カーフミール | 56.1(kg) | 67.1(kg) |
配 合 飼 料 | 226.8(kg) | 226.0(kg) |
乾 草 | 338.8(kg) | 346.2(kg) |
・ 指導参考上の注意事項
(1) スターターは、はじめ嗜好性が悪いのでほ乳後少量あて給与し、徐々に馴れさせ規定量に移ること。
(2) 飼料の移行は徐々に行うこと。
(3) 固形飼料は7日令頃より必ず給与すること。