【指導参考事項】
草地に対する越冬前後の施肥試験成績
王立天北農業試験場 土壌肥料科

・ 試験目的
 草地の生産力は牧草の絶対生産量はもとより利用年限の拡大、年間内の効率的利用回数の増加がなければならない。これに対する一手段として、早春の再生産を連年円滑に維持することを目的として越冬前後の刈取条件、施肥などについて検討を加える。

・ 試験方法
 (1) 供用草地  場内洪積土〔A〕試験地は造成2年目草地(オーチャードグラス、ペレニアルライグラス、ラデノクローバー混播) 〔B〕試験地は造成6〜7年目草地(オーチャードグラス、ラデノクローバー、チモシー、赤クローバー混生地)

 〔A〕 試験処理区分
試験区名 刈取期
(月日)
刈取高さ
(cm)
施肥時期
同年積雪前 翌春融雪前2週間
1. 秋刈取早期打切 10.15 2 10月30日  
2.     〃   4月9日
3. 秋晩期刈取 10.30 10月30日  
4.     〃   5月1日
5.     〃 10 10月30日  
6.     〃   5月1日
7. 残  存  区 9.15 越冬前草丈 10月30日  
8.     〃 30〜35   5月1日

 施肥は各区とも10a当りN.P.K各2kgあてとし、翌年1番刈後はN2kg/10aを各区に施用
 収穫期は、第1回6月17日、第2回7月29日、第3回8月19日、第4回10月5日

−試験成績の概要並びに主要データー−


 〔B〕 試験処理区分
 10月26日に普通の方法で牧草を一整に刈り取り後試験区画を行い施肥量を異にする区を設けた。即ち〔無肥区〕、〔N8-P2-K2〕、〔N2-P8-K2〕、〔N2-P2-K8〕kg/10aの4段階とし、施肥時期は〔A〕試験と同じで3つの異なった時期とした。2年目の追肥時期は当年11月29日、翌春4月14日及び4月28日といsた。叉1番刈り取り後にはN.P.K各2kg/10aあて各区に施用した。

−試験成績の概要並びに主要データー−

・ 要約並びに注意事項
 10月15日刈(従来の遅刈限界)の場合、(低刈りの場合)、翌春1番草の生育に対しては、融雪後施肥が幾分まさるが、2、3、4番草の収量は越冬施肥がややまさる傾向があるが、全体として大きな差はない。最終刈取時期を遅くして10月30日とした場合は、高刈、低刈、残存(9月15日刈)に係わらず、翌春1番草生量は越冬前施肥がまさり、特に高刈りの場合がまさる。低刈りの悪影響はオーチャードグラスよりもラデノクローバーに強く現れるが、これは翌春再生のための期間が栄養的にも形態的にも両者間に差があるためである。刈り取りを遅くした場合春の再生長を遅らすが、天北地帯では10月末日までならば上記のように高刈と越冬前施肥により悪影響をさけることが可能である。
注意事項
 急傾斜地または土壌凍結の著しい地帯では流亡の心配がなくなった時期に可及的早く施肥した方がよい。越冬前に草丈15cm以上に生長せしめような施肥は経済的でない。