【指導参考事項】
除草法(土壌鎮圧効果と除草剤)試験成績
道立十勝農業試験場農業機械科

・ 目的
 畑作物における土壌表面処理用の除草剤は、気象条件、特に土壌の乾湿によって雑草効果に相違がみられる。その対策として昭和38年度より播種後にローラにより土壌鎮圧を行い、土壌水分を高めて、除草剤処理を行ったのでその効果を検討する。

・ 試験方法
 試験条件
 1. 土    性  洪積性火山灰土(乾燥地)
 2. 鎮圧ローラ  重量200kg、作用巾2.4m、鎮圧速度1.0m/sec
 3. 供試除草剤  PCP水和剤、粒剤、CI-IPC、ロロックス
 4. 供試作物   てん菜、大豆、菜豆、小豆
 5. 供試面積   1区12〜36m22反復、無底枠ポット(1.8×0.6m)

・ 試験結果の概要
 1) 鎮圧と土壌水分の関係(38・39・40年)
  播種後の土壌鎮圧は、土壌密度を高め、土壌表層部(表面〜10cm)水分を約5%上昇させ、作物の発芽を促進させ、あわせ雑草量を増加させる傾向がある。
 2) 除草剤散布時期と除草効果(38・39年)
  鎮圧および除草剤効果は、除草剤散布時期の条件が強く影響し、播種直後除草剤処理区では効果が少なく、作物発芽前処理区では雑草の発生が少なく、叉鎮圧効果がみとめられた。
 3) 稀釈水量、添加水、日よけ効果(38・39・40年)
  水和剤稀釈水量は(50〜300L)で、効果差がなかった。粒剤散布後の水散布(500L/10アール)効果など、日よけ処理は粒剤で効果が顕著であった。これらのことは除草剤の性格判定に利した。
 4) 土壌鎮圧と除草労働
  土壌鎮圧を行うと雑草の発芽を促進させ、これに除草剤を散布し、生育を抑制して後ホー除草を実施すると畑表面仕上が良好、雑草倭小、少量で除草作業能率は向上する。土壌鎮圧の影響は、ホー除草20%程度の省力となり得る。

・ 主要成果の具体的データー
 鎮圧別土壌硬度と水分
土 壌 硬度(山中式)mm 水分(%)湿基
土 層/
鎮圧別
表面 5cm 10cm 15cm 0〜5 5〜10 10〜15 15〜20
無鎮圧 0.4 3.7 7.5 10.0 7.7 23.3 29.2 27.5
鎮圧 1 4.0 6.8 10.6 14.3 9.3 28.7 27.5 29.8
鎮圧 2 8.3 14.4 13.5 18.2 14.7 29.1 30.5 30.8

 38年 雑草発生割合(播種後30日、本数%)
作物名 菜  豆 大  豆
処 理/
鎮圧別
無処理 播種後 発芽前 無処理 播種後 発芽前
無鎮圧 100 85 52 100 59 53
鎮圧 1 104 78 10 104 73 17
鎮圧 2 137 105 24 147 73 24

 40年 水和量別雑草量(播種後35日%)
水和量/
鎮圧別
無処理 50L 100L 200L 300L
無鎮圧 100 37 32 39 50
鎮圧 1 129 33 32 32 36
鎮圧 2 133 31 30 23 25

 38・39年 鎮圧別除草労働
年次 作物別 鎮圧別 雑草種
(本数)%
ホー除草
時間/10アール 無鎮圧対比(%)
38 小 豆 無鎮圧 100 5.7 100
鎮 圧   73.0 5.5   97.5
39 小 豆 無鎮圧 100 7.5 100
鎮 圧 100 5.5   73.3
てん菜 無鎮圧 100 5.5 100
鎮 圧   75.0 4.7   85.3

・ 指導参考上の注意事項
 1. 土壌鎮圧は、雑草量を増加させるので、除草剤と併用する。
 2. ほ場が均平となるため風蝕をうける地帯では検討を要する。