【指導参考事項】
重粘地におけるクリアリングブレイド利用による伐開試験
農林省 北海道農業試験場
        農業物理部機械化第1研究室

・ 目的
 林地を切り拓いて草地を造成する場合、造成に要する時間ならびに経費のうち、立木の伐採、抜根および排根の占める割合が大きい。この立木処理を能率的経済的に行い機械化体系を創出するため、立木伐開用機械であるクリアリングブレイドによる立木処理に関する試験を実施した。

・ 試験方法
 供試機:クリアリングブレイド、米国Rome社製KGA6型(刃巾3.05m)
      トラクター、NTK-6型(重量約12ton機関出力96PS)
      排木用レーキドーザー、小松D-50(掛巾2.70m)、三菱D6B(掛巾3.53m)
 試験場所:紋別郡興部町(重粘地)
 供試面積:約4.0ha
 試験時期:昭和39年11月、40年6月、41年6・9月

・ 試験結果の概要
 1. クリアリングブレイドによる伐採作業能率は、傾斜5°50'以下の地形においては廻り工法で2.9〜3.2hr/ha。傾斜3°20'〜14°30'の地形では2.8〜3.5hr/haで、傾斜が急な程能率は落ちる。燃料消費量は10〜14L/hr程度であった。
 2. レーキトーザーによる排木作業能率は掛巾2.70mで2.2〜2.9hr/ha、燃料10〜11L/hr、掛巾3.53mで1.6〜2.2hr/ha、燃料15〜22L/hrで傾斜が急な程能率は落ちる。
 3. クリアリングブレイドの傾斜に対する利用限界については13°20'では作業可能であったが、16°21'では作業不能と認められた。一押で伐採可能な樹径の限界は、はんの木については26cm程度までであった。
 4. クリアリングブレイドによる伐採跡地には、樹径5cm以下の中、20〜40%程度が斜めに切断されて残った。伐採跡地に重デスクハロー耕を行えば、牧草の播種床にないうることが認められたが、伐採跡地処理方法についてはなお検討する予定である。

・ 主要成果の具体的データー
 1. クリアリングブレイドによる伐採作業能率、燃料
工 法 速度
(m/s)
供試面積
(縦×横)ha
傾 斜 作業能率
(hr/ha)
燃料消費量
(L/hr)
備  考
掛巾
(m)
停止回数
(ha)
廻り工法 2 速
(0.93)
0.63
(121×83)
3°40'〜
   5°40'
2.7 10.8 1.55 49
3 速
(1.23)
0.38
(84×45)
3.2 13.0 1.21 121
片道工法 2 速
(0.95)
0.66
(104×64)
8°30'〜
   9°
4.2 13.1 1.95  
3 速
(1.23)
0.34
(104×33)
3°20'〜
   9°
2.8 11.8 1.82  
廻り工法 3 速 0.67
(123×71)
0°10'〜
   5°40'
2.0 14.3 1.35 93
0.74
(113×67)
0°10'〜
   5°50'
2.9 12.4 1.30 210
片道工法 0.25
(80×32)
7°50' 3.3 13.0  
0.25
(76×33)
11°10'〜
   14°30'
3.5
  注) ※の欄は立木を冬期間中に雪上で切断(地上1m前後)してあったあとを伐採

 2. レーキドーザによる排木作業
播 種 供試面積(ha)
(縦×横)
傾 斜 排木長(m) 作業能率
(hr/ha)
燃料消費量
(L/hr)
小 松 1.0
(121×83)
3°40'〜5°40' 121 2.9 11.0
0.99
(104×96)
3°20'〜11°40' 60 2.2 10.8
三 菱 0.74
(113×67)
5°10'〜5°50' 67 1.7 16.0
0.22
(47×47)
7°50'〜14°30' 47 1.6 22.2
0.18
(84×47)
2°30'〜14°30' 84 2.2 15.0
0.30
(91×36)
5°40'〜11°10' 91 2.2 21.2

・ 指導参考上の注意事項
 1. 土壌の支持力が大きい重粘地において特に好適し、1開の伐採のみで作業を終えることができる。
 2. 一押しで切断出来ないような太い立木あるいは株は、ブレイドの突先で縦に裂いてから、ブレイドをかければ切断可能である。
 3. 地表が平坦であれば根際から切断出来るが、凹凸があれば刃の当たる位置に高低を生じ、高い位置に当たると斜め切り、押し倒しを生ずるので、特に波状地で使用する場合地形に応じて工法を変える方がよい。
 4. 排木作業については、ブレイドで行うことが出来るが、表土を剥離するおそれがあるので、レーキドーザーで行う方がよいと考えられる。