【指導参考事項】
肉豚の管理方式に関する試験
(簡易ビニール豚舎による肥育試験)
道立滝川畜産試験場

ア はじめに。
 簡易ビニール豚舎については昨年既に指導奨励に移したものであるが、今回はその改善試験結果を補足するものである。
イ 要約
 (ア) 供試簡易ビニール豚舎の設計
 図1 ビニールフィルム利用簡易豚舎略図(28m2)






 農家の手持資材で簡単にしかも経済的に建てられる。子豚期から出荷する迄、20頭以上を収容することが可能である。特に構造上で留意すべき点は、天井を設けその上に稲わらをしき、壁を2重張(2cm間隔)にし、床を板張にする等保温構造に力を入れると共に、内腰壁に平丸太を張りつけて破損の防止に努める必要がある。床の泥ねい化を防ぐため板張は絶対必要である。
 (イ) 発育成績と飼料効率
  舎内温度と発育や飼料効率との関係をみると第2表の通りである。すなわち、やや寒い方の簡易ビニール豚舎の発育と、飼料効率の見劣りはさけられない。

 第1表 発育と飼育効率
  品  種 頭数 肥育所要日数
(子豚〜出荷)
(日)
1日平均
増体量
(g)
飼 料
消費量
(kg)
飼 料
要求量
摘 要
ビニール豚舎
(試験)
ヨークシャー
ランド雑種
20 105 694 276 3.91 1月の最低気温
1.0℃
木 造 豚 舎
(対照)
10 97 732 263 3.71
3.0℃

 1月の厳寒期の舎内最低気温差が2℃で、あまり格差がないので、両者間の発育速度にも差は大きくないが、特に寒さに弱い子豚期の発育は事情が異なり差異が認められる。
 (ウ) 試験豚舎の舎内温度と湿度
  木造の対照舎内にくらべ簡易ビニール豚舎の方が最高気温が高く、最低気温が低くなっている。このことは簡易ビニール豚舎の方は昼間は太陽光線の影響を受けて暖かくなりやすいのに反し、夜明の寒冷時には直接外気が侵入しやすいからであるが、2月に零下を示す程度である。

 第2表 試験豚舎と対照豚舎の保温
  温度区分 11月 12月 1月 2月
ビニール簡易豚舎
(試験豚舎)
最 高 12.6℃ 10.7 11.0 8.0
最 低 3.5℃ 1.0 0.9 -2.1
木造豚舎
(対照豚舎)
最 高   6.2 4.4  
最 低   3.1 0.9  
外 気 温 最 高 6.0℃ 5.0 -1.2 -1.2
最 低 -2.2℃ -7.8 -14.0 -11.2
 湿度は両豚舎間に余り差異がない。簡易豚舎の方は天井裏に稲わらを敷きつめているがこれが保温と防湿に役立っているためである。