【普及奨励事項】
とうもろこし「長交347」
道立十勝農試 とうもろこし科
(昭和38〜42年)

・ 育種目標
 初期生育旺盛で、子実の登熟が糊熟期以上に達し、かつ既存の一代雑種よりも生草収量の多い組合せの選抜を目標といした。

・ 来 歴
 昭和36年交配  「岩手エロ−デント×Wisconsin No531-(455×466)…長野農試
   岩手エロ−デント:長品719、エロ−デント。
   Wisconsin No531-(455×466):単交配の選抜固定した合成系統
 昭和38年〜  系統適応性検定試験  ┐
                          ├…道内
 昭和41年〜  奨励品種決定現地調査 ┘
   供試種子は毎年長野農試で交配したものである。

・ 特 性
 1. 抽糸期は腹交8号、交6号の早生サイレ−ジ用一代雑種と同程度で、交4号より3日内外早い。十勝・網走地方においては極端な冷害年を除き、収穫期までに糊熟期に達する。
 2. 初期生育は複交8号、交6号、交504号に比し旺盛でエロ−デント並である。
 3. 総生草収量は複交8号に比し約30%多く、交6号、交504号よりも5〜20%多い。
 4. 生雌穂重は複交8号、交6号、交504号に比し多く、乾子実重もこれらの品種より20〜60%多い。
 5. 栄養収量の試算値によると、飼料単位、司消化蛋白共に複交8号、交6号、交504号に比し20〜30%多い。
 6. 雌穂重は円筒形で太く長い。粒列は14〜20行、1列粒数は約50粒で粒色は黄色である。
 7. 稈長は複交8号、交504号よりやや高く、交6号並であり、着雌穂高はこれらの品種より15〜45cm高い。また、稈径は複交8号、交6号より太い。
 8. 倒伏に対しては複交8号並で強いが、交6号や交504号よりは幾分弱い。
 9. 煤紋病に対しては複交8号、交504号、交6号より強い。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 過去5ヶ年間の成績概要

材  料 45日 抽糸期
(月日)
熟  度 倒伏
(%)
10a当り収量 (kg)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
生草総重 同比
(%)
FU DTP



長交347 42.7 7.7 8.16 糊末 31 5.678 128 564 29.9
複交8号 30.7 6.3  .15 糊中〜末 33 4.432 100 436 22.3
交6号 31.7 7.5  .17 7 5.167 117 444 25.2
交504号 31.3 6.8  .19 糊籾〜中 9 4.625 104 415 22.2
ジャイアンツ 33.1 7.1  .21 乳末 34 6.156 139 411 22.6
青森エロ− (41.6) (7.1)  (28) (41) (7.850) (40.8) (27.5)



長交347  .22 5.567 133 (生雌穂重)
1.191
(同比)
120
複交8号  .22 4.875 100 994 100
交6号  .23 4.789 114 834 84
交504号  .26 4.446 106 912 92
ジャイアンツ  .28 6.253 149 979 98

・ 適用地帯並びに栽培上の注意
 ◎ 適用地帯:十勝・網走地方の複交8号、交6号、交504号におきかえて栽培し、また同地方のジャイアンツおよびエロ−デントと配合して栽培する。
 ◎ 栽培上の注意:従来のサイレ−ジ用品種と同様に欠株をださぬように留意して多肥栽培することが望ましい。一般には少肥密植栽培が多いので、10a当り4.500本内外に留めて子実の登熟を図り、頑健な生育を図ることが望ましい。