【普及奨励事項】
てん菜合成品種「T1002」に関する試験成績
てん菜研究所・北海道立農業試験場
(昭和35年〜42年)

・ 育種目標
 多収高糖性で褐斑病抵抗性の強い品種を育成する。

・ 来 歴
 昭和35年よりてん菜研究所において、日甜、芝糖、台糖およびホクレンの各製糖会社と共同の下に帯広、北見、厚沢部、伊達および女満別において、導入2号、AJ-4およびUS401から3代選抜した系統と、昭和36年より北海道立十勝、北見および根釧農試との共同の下に導入2号から温室を利用して3代選抜した系統とを昭和39年に合成した。
 その後、全道各地で系統適応性検定試験、奨励品種決定基本調査および奨励品種決定現地調査および現地比較試験を行った。なおこの間、毎年構成系統の組合能力検定試験を行い、一部系統の組換えを行った。

・ 特 性
 T1002は多収の褐斑病抵抗性の強い品種である。一般外部形態はつきさつぷに類似しているが、地上部の生育は旺盛でトップ重も大きい。
根形はつきさつぷと同じ長円錐型である。根重、根中糖分共につきさつぷにまさり、PolyraveおよびKWS-Eと同程度が、ねんによりこれらすぐれている。褐斑病抵抗性はつきさつぷと同程度である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 系統適応性検定試験(昭和41年) (対つきさつぷ比)
品種名 てん菜
研究所
北海道立農業試験場 平均
中央 上川 天北 北見 十勝 根釧
根重
1. つきさつぷ 100
(4742)
100
(4684)
100
(3386)
100
(2772)
100
(3448)
100
(3327)
100
(2582)
100
2. Polyrave 95 102 92 111 106 111 109 104
3. KWS-E 96 97 93 107 111 111 99 102
4. T1002-1 99 105 109 115 110 106 107 107
根中糖分
1. つきさつぷ 100
(15.0)
100
(14.2)
100
(16.2)
100
(14.3)
100
(13.9)
100
(15.1)
100
(16.1)
100
2. Polyrave 101 107 103 108 106 104 104 105
3. KWS-E 103 104 103 105 106 103 101 105
4. T1002-1 102 105 103 102 104 101 101 103

 2. 奨励品種決定基本調査(昭和42年) (対つきさつぷ)
品種名 てん菜
研究所
北海道立農業試験場 平均
道南 中央 滝川 上川 天北 天塩 北見 十勝 根釧
根重
1. つきさつぷ 100
(4326)
100
(5482)
100
(5704)
100
(4516)
100
(4045)
100
(3077)
100
(3592)
100
(3785)
100
(3722)
100
(4113)
100
2. Polyrave 84 99 96 94 96 104 97 92 101 100 96
3. KWS-E 88 100 96 89 107 96 110 90 101 108 99
4. KWS-Polybeta 82 97 95 92 96 98 104 94 101 104 95
5. Monokuhn 87 97 105 90 110 102 114 91 104 108 101
6. Tmm-14-1 101 100 92 112 95 99 92 113 86 99
7. T1002-2 113 100 102 95 109 111 109 102 107 102 105
根中糖分
1. つきさつぷ 100
(14.70)
100
(16.61)
100
(14.81)
100
(17.08)
100
(17.06)
100
(16.15)
100
(16.09)
100
(16.20)
100
(16.85)
100
(14.50)
100
2. Polyrave 101 95 102 107 104 105 103 104 104 106 103
3. KWS-E 99 94 102 103 99 106 106 104 102 108 102
4. KWS-Polybeta 104 92 104 106 101 108 110 107 103 106 104
5. Monokuhn 100 93 101 103 99 105 110 104 102 106 102
6. Tmm-14-1 99 101 101 97 97 98 98 99 97 94 98
7. T1002-2 106 108 104 104 104 102 106 107 102 104 105

・ 適応地帯並びに栽培上の注意
 T1002はつきさつぷに準ずる地帯で、道南、道央及びその他の褐斑病の多発する地帯に適する。
 栽培法はつきさつぷに準ずる。