【指導参考事項】
豆類菌核病の防除に関する試験成績
十勝農試病虫科
(昭和40〜42年)

・ 目 的
 豆類菌核病の発生生態を追求し、本病の発生予察および防除のための基礎資料を得る。

・ 試験方法
 本病激発圃場を供試して、その発病の推移を調査するとともに、被害の最も激甚な菜豆大正金時を供試し、播種期を変えて本病の急激発転換期を調査した。耕種法は十勝農試標準耕種法によった。

・ 試験成果の概要
 1. 菌核病の発病は気象条件の異なる3ヶ年共に初発生後発病は1次直線的に漸増するのではなく、或る時点まで発病率は極めて低く経過し、その後急激に感染発病する転換期のあるSカ−ブを描くことが明らかとなった。
 2. 従って、防除時期としては、上記急激発病転換期の把握が重要要素であることがわかった。
 3. 播種期による発病消長の推移は早期播種程本病の急激発病転換期も早く、かつ罹病程度も高かった。
 4. 急激発病転換期は標準播種日より約10日早播きすることにより、標準播種にくらべ3〜6日早くなった。
 5. また、急激発病転換期は各処理共に開花始日より8〜10日後に出現していることは注目される。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 菌核病の発生生長(菜豆大正金時)発病株率






 菌核病急激発病転換期の予察(菜豆大正金時)発病株率



・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 1. 菌核病の防除のためには、防除薬剤の散布時期を適確に把握することが極めて重要であり、防除法の決定的要因である。
 2. 防除時期の把握については本試験結果では未だ充分でなく今後さらに試験を継続する予定であるが、2ヶ年の試験の結果、一応、標準播種日より約10日早播きする予察ほの設定により、3〜6日早く急激発病転換期が把握できる。すなわちこのことにより防除対策1回目散布日を推定出来ると考える。