【指導参考事項】
水稲の機械移植栽培基準 北農試作物第1部 中央農試稲作部 〃 機械部 上川農試 道南農試 |
〔北海道〕 土付苗型式
項 目 | 記 載 事 項 |
1. 適 地 | 道央以南とする。ただし遅延型冷害の恐れのある不安定地帯を除く。 |
2. 品種の選定 | その地帯における早・中生種で倒伏抵抗性、耐冷性の強い品種がよい。 現在の品種では下記のようなものが適当である。 道央部 : しおかり、うりゅう 道南部 : 南栄、新栄 |
3. 育 苗 | |
(1) 床土準備 | 農閑期に水田または苗代の土壌を採取し、8メッシュ程度の篩でふるって置く。本田 10a当り60kg程度の土壌が必要である。土性は壌土ないし埴壌土のものが望ましい。 砂質土壌や極端な粘質土壌は苗ひも強度や生育に支障があるので使用を避ける。 土壌反応はPH4.5付近が最適で、4.0〜5.0の間にすることが必要である。ムレ苗が 出るような苗代や本田の土を使用する場合には、矯正を行って置く。 |
(2) 床土施肥 | 窒素を基肥として施すると茎葉の生育に比較して根の発育が不十分となり、苗ひも 強度も小さくなるので、基肥としての施用を避け、1.0〜1.5葉期にNといして1gを追肥する。 燐酸と加里をP2O5、K2Oとしてそれぞれ箱当り1gずつ土壌とよく混和する。 |
(3) 種子予借 | 種もみの発芽率が高く、苗立がそろっていることが必要なので、採種、脱穀、脱宅、 消毒に留意し、とくに塩水選および催芽(鳩胸程度)を励行する。 |
(4) 床作り | 苗の生育と苗ひも強度を均一にするために、各機種の育苗箱につき所定の方法で念 入りに行うことが重要であり、とくに育苗紙あるいはポリシ−トの折込みは"ムラ"のない よう正確にセットする。 土のつめ方はある程度鎮圧した方が苗ひも強度を強めるが、強度の鎮圧は根の発育 上好ましくない。なお、苗ひも強度に不安のある場合が多いのであらかじめ補強材料を 使用するのが安全である。 |
(5) 播 種 | 播種期は4月下旬を適期とする。1箱当りの播種量は浸漬もみ350〜400ccを均一に播 種するが、屈曲部はやや厚播きにする。 覆土は軽く鎮圧して0.5mm程度の厚さとする。 |
(6) 育苗管理 | ビニ−ルトンネルまたはビニ−ルハウスを用いるが、光利用度および管理の容易なビ ニ−ルハウスが有利である。発芽ぞろいまでは特に過湿、過乾にならないよう潅水に 注意するが、床土水分保持の面からも二重被覆が望ましい。育苗期間中は土壌が常時 過湿状態にすると根の発育を害し、苗ひも強度が低下する。なお、その他の管理は慣行 移植栽培に準じて行うが、とくに苗代後期には換気を十分に行って苗の強化をはかる必 要がある。 |
4. 移植時期および 苗の形質 |
稚苗移植の適期幅は、5月15日〜5月25日の期間である。移植時の苗齢は2.0〜2.5葉 、苗長は8〜12cmが適当で、育苗日数はおおよそ20〜25日であり、これより長くなると苗 齢はいくらか進むが苗素質が低下する恐れがあるので注意を要する。 |
5. 本田耕起 | 耕耘にはロ−タリ−の使用が望ましく、車輪型田植機を利用する場合の耕深はやや浅目 とし、耕盤を均平に保持することが重要である。なお、砕土はできる限りこまかくし、大土塊 のないように注意する。 |
6. 基肥施用 | 慣行移植栽培に準ずるが、普通苗よりも倒伏しやすい傾向がみられるので多肥は避け る。 |
7. 整地、代掻き | 田面の整地、均平はとくに念入りにし、稲株、土塊、浮遊物などを埋没、除去し、手植移 植よりも田面の均平化にとくに留意する必要がある。 |
8. 除 草 | 活着後(ただし移植後10日まで)にCNP粒剤を10a当り3〜3.5kg散布するが、深水の場合 や植漬け姿勢が不良のときには薬害のでる恐れがあるので、水管理ならびに植付け精度 を高めるように留意する必要がある。その後の除草は普通移植の場合に準ずる。 |
9. 移 植 | 採植密度は普通苗より多い25株/m2程度とし、植付けの深さは約2cmとする。移植時の水 深はできるだけ浅水としてヒタヒタ状態が望ましい。田面の土の硬さは作溝後すぐ埋まる程度 がよい。移植時の苗ひもの土壌は極度に乾湿に過ぎないようにする。 |
10. 追 肥 | 慣行移植栽培に準ずる。 |
11. 病虫害防除 | 慣行移植栽培に準ずる。 |
12. 水管理 | 4葉期ころまでは浅水にし、初期生育の促進をはかる必要がある。その後の水管理は慣行 移植栽培に準じて行う。 |