【普及奨励事項】
1. 硬質春播小麦「北見春17号」に関する試験成績
北見農試 小麦育種指定試験地
試験担当者 茂内 俊一
(昭和30〜43)

・ 育種目標
 強稈、耐病、多収、硬質パン用

・ 来 歴
 交配年次:   昭和30年
 支配場所:   旧北見支場
 支肥親  :   硬質小麦農林42号×北育1号
 育種方法:   集団育種法
 予備編入:   昭和39年(F8 北系春145)
 生検編入:   昭和41年(F10)北見春17号と命名
 奨決配付:   昭和42年(F11)
 世代   :   昭和43年(F12)

・ 特 性
 硬質春播小麦「ハルヒカリ」に対する
優点
 1. 圧倒的に多収
 2. 栽培条件、地域性に対し適応力が大きい
 3. 実用品種中、耐倒伏性最強
 4. 出穂期が1〜3日早い
 5. 白枯病にやや強く、黒ふ病(black chajj)
 6. Yellow berry
 7. グル−テン含量が多い
 8. 挽砕易い
欠点
 1. 赤さび病にやや弱い
 2. 一口にいってグルテンの質(エキステンソグラムの"こし"が弱い)が劣る。「農林75号」程度

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 子実重(kg/a)(2ヵ年平均)
系統名/
品種名
普通栽培 多条播 試験
標肥
(**)
多肥
(*)
少肥 平均
(**)
(%) 標肥 多肥 少肥
(*)
平均
(**)
(%) 平均
(**)
(%)
北見春17号 24.2 20.9 19.8 21.6 121 22.1 24.2 23.1 23.3 114 22.5 118
ハルヒカリ 20.3 17.5 16.0 17.9 100 20.6 21.5 19.1 20.4 100 19.1 100
  注) *、**:5%、1%水準で有意性を示す。

系統名/
品種名
原 粒 60%粉 製粉
歩苗
(%)
ミリンダ
スコア
(%)
8
M

(%)
ファリノ
灰分
(%)
蛋白
(%)



(ml)
湿


(%)
カラ−
バリュ−
反射率
R455 R554


(%)
V.V
北見春17号 1.90 14.9 52 46 1.2 59.5 71.7 66.2 70.7 30.6 66.2 53
ハルヒカリ 1.97 14.5 60 34 1.7 60.2 70.1 66.1 71.4 28.0 64.1 52

系統名/
品種名
アミロ
M.V
B.U
エキステンソ パン パン外観 パン内相 総点
(100)
A
cm2
R/E 重量
(g)
体積
(cc)
体積
(20)
焼色
(10)
反質
(15)
色相
(15)
す立
(20)
触感
(20)
北見春17号 787 122 1.4 160 585 15.4 6.9 10.1 11.3 14.9 14.4 73.8
農林75号 580     158 569 14.8 6.9 10.1 10.7 13.8 13.5 70.6
ハルヒカリ 565 151 4.3 159 568 14.7 7.1 10.5 11.2 18.6 14.0 73.5
  注)アミロM.Vで3ヵ年、エキステンソ2ヵ年、パンテスト4ヵ年の平均値をもって示す

・ 適応地帯並びに栽培上の注意
 適応地帯  網走・上川・十勝
 栽培上の注意
  1. 多条播・多肥
  2. 早播き・早刈り
 (注)かなりの出回り量に達したら、強力小麦の銘柄を申請する必要がある。