【指導参考事項】
冬どりカンラン栽培試験
道南農試園芸科 (今野 寛)
(昭和40〜42)

・ 目 的
 端環期における新鮮緑野菜生産の一環として冬一早春収穫のための越冬多収性品種を選定しその適播種機を検討する。

・ 試験方法
 供試品種 −   晩袖理想、四季理想、耐寒理想、時無理想、四季穫
 播種期   −   6月中旬、6月下旬、7月上旬
 畦巾×株間−   75cm×45cm  
 施肥量(kg/a当)−   N2.6(硫安、尿素)、P1.5(過石、ヨ−リン)、K2.5(硫加)


・ 試験成果の概要
 1. 腐敗
  積雪短期間の2月収穫においては比較的低率であるが長期間の4月収穫においては高率となり、叉播種期の早いのもは被害大きい。
 品種間においては2月収穫では四季穫が42年に被害大であったがその他は各年、各播種期とも低率であり大きな影響はない。4月収穫では各品種とも高率であるがその中では晩抽理想が被害少なく5品種中もっとも耐病性が認められた。
 2. 腐敗軽減のための薬剤処理
  カスミン粉剤及水和剤、散粉ボルドウ、クブラピットなどを用いた秋期一根雪なで5回散布したが効果は判然としなかった。
 3. 収量
  ○2月収穫においては腐敗が少ないので多収性の四季穫、晩抽理想が多収であった。叉播種期については四季穫はやや早生型であるため41年(低冷年)は6月中旬が多収であったが、42年(平年並の気候)は結球度が進み6月中旬は腐敗により減収し、6月下旬が多収となった。晩抽理想は6月中旬が多収であった。
  ○4月収穫においては晩抽理想が多収を示し6月中旬が良い結果を示した。
 以上の事から品種及播種期は次ぎの通りである。
  2月どり ┌四季穫   6月中旬−6月下旬播種
└晩抽理想  6月中旬播種
  4月どり −晩抽理想  6月中旬−6月下旬播種

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 腐敗率

播種期/
収穫期/
品 種
6月中旬 6月下旬 7月上旬
11月 2月 4月 11月 2月 4月 11月 2月 4月
晩抽理想       0 0 2.3      
耐寒理想       0 0 18.3      
四季理想       0 7.1 12.9       
時無理想       0 0 21.9      
四季穫       0 0 5.7      
晩抽理想 0 0 67.8 0 0 22.2 0 ? ?
耐寒理想 0 0 100.0 0 6.6 80.0 0
四季理想 0 0 86.7 0 8.3 93.4 0
時無理想 0 13.3 93.4 0 0 73.3 0
四季穫 0 0 100.0 0 0 40.0 0
晩抽理想 0 6.7 43.3 0 6.7 45.0
緑(2
色月
葉調
数査)
6月中旬 6月下旬
.0 6.1
5.8 6.4
5.6 7.1
時無理想 0 0 63.3 0 17.2 55.0
四季穫 0 63.3 98.3 0 33.3 62.0

 2. 収量
播種/
収穫/
品種
6月中旬 6月下旬 7月上旬
11月 2月 4月 11月 2月 4月 11月 2月 4月
晩抽理想       433 414 404      
耐寒理想       436 430 196      
四季理想       446 385 293      
時無理想       531 465 232      
四季穫       490 496 350      
晩抽理想 658 726 331 296 356 195 89 (半






止)
(半






止)
耐寒理想 565 616 0 219 289 48 67
四季理想 631 626 61 237 300 11 40
時無理想 662 654 35 301 363 88 59
四季穫 723 846 0 353 392 213 55
晩抽理想 475 308 413 245      
時無理想 522 181 349 190      
四季穫 202 9 365 163      

・ 普及指導上の注意事項
 1. 定植時期が遅いため播種期の遅れが収量に影響しやすく叉早播は熟度が進んで腐敗を多くするので適期播種を励行する。
 2. 根雪時凍結の激しい地域では凍害のため栽培は困難である。