【指導参考事項】
ビニ−ルハウスに関する試験成績
(固定育苗用ビニ−ルハウスの作付体系化試験)
道南農試園芸科 (沢田 一夫・土屋 弘・今野 寛・高橋 総夫)
(昭和39〜43年)

・ 目 的
 育苗用固定ハウスの周年利用体系を確立する。

・ 試験方法
 大野型固定ハウス80m23棟を供用して、トマト、キュウリ、メロン、スイカ、セロリ−、ストック、カンギク、ピ−マン、エンドウ、レタスをそれぞれ春夏作型4〜7月、秋冬型8〜12月に分けて栽培し、その適性、栽培技術を検討した。

・ 現況と技術から道南でハウス栽培により利点を見出せない作物はスイカ、メロン、ストック、カンギク、セロリ−、エンドウで、前2者は収穫時期からろ地と変わらず、品質も充分でない。スタック、カンギクは保温上からホトリチスの被害が大きく、開花率も低い。またストックは1月が開花期で遅い。エンドウは開花するも結莢しない。セロリ−は長期にわたり地温維持が必要で品質不良である。
 結局春夏作には、キュウリ、トマト、春蒔結球白菜が粗収入純収入高く、中でキュウリは労働報酬が大きく面積拡大にはトマトより有利である。トマトは生産費中電熱費用が大きく、育苗技術の改善が考えられる。
 秋冬作ではハウス暖房機の導入により寒害を回避することが収益を安定するものである。加温期間を11月中旬まで行うことにより収益が大巾に増加する。ハウス加温を要せず地温維持によりレタスを作れるが、価格の不安定が栽培を確定できない。
 作型としてトマト←→キュウリ、ハクサイ→キュウリ、ハクサイ→トマト、トマト→レタス、キュウリ→レタスが適当である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
年次 作物名 収穫期
(月日)
1ア−ル当り収益比較
収量
(kg)
単価
(円/kg)
金額
(円)
生産費(円) 所得
(円)
労働
時間
(h)
労働
報酬
(円/h)
備考
施設費 その他
42 トマト 6.6
〜7.24
458 101 46.258 7.616 24.008 31.634 14.634 196.3 74.5  
43 6.12
〜7.31
567 109 61.803 11.991 12.384 24.375 37.428 196.3 191.0  
42 キュウリ 5.24
〜7.10
490 53.5 26.215 7.616 6.142 13.758 12.457 125.8 99.2  
43 6.6
〜7.31
658 87.0 57.246 11.991 11.365 23.356 38.890 125.8 270.0  
42 9.1
〜10.16
172 68.0 11.696 7.616 2.079 9.695 2.001 73.3 28.2 加温キ
43 9.6
〜11.5
395 100.0 39.500 11.991 9.182 21.173 18.327 83.3 25.2  
42 レタス 11.25 326 71.0 23.146 7.616 6.475 14.091 9.005 32.0 281.0  
43 11.15 393 47.5 18.700 11.991 7.862 19.853 △1.153 32.0 加温キ
43 11.13 393 47.5 18.700 7.616 7.862 15.476 3.222 32.0 101.0  
43 トマト 10.16
〜12.12
266 101.0 26.891 19.991 14.936 26.937 △36 149.0 加温キ

・ 普及指導上の注意事項
 ハウス土壌の劣悪化を防ぐため堆肥の使用につとめ、毎作毎に湛水10cm以上を行い塩積を流去する。
 高温時期に土壌病害は適時消毒する。
 多肥を避ける。