【指導参考事項】
大型温風暖房機によるビニ−ルハウスの加温に関する試験成績
北農試作物第2部園芸作物第2研究室
(昭和43年)

・ 目 的
 大型暖房機による暖房中のハウス内温度分布と、外気温と燃料消費量との関係について検討する。

・ 試験方法
 大型温風暖房機(ハウスカオンキHK300型、熱出力75000kcal/hr、加温能力660〜990m2、燃油量A重油10.7l/hrを用い、使用ハウスは4棟(各棟1a)で、2棟(間口4.2m、A.C)はトマト、他の2棟(間口5m、B.D)はキュウリを栽培した。温度調節器は、A棟で8℃(10月30〜11月4日のみ6.5℃)にセット、10月12日〜11月29日の間加温した。

  ハウス暖房機(ハウスカオンキHK300)

・ 試験成果の概要
 1. 夜間暖房中のハウス間温度差:
  ハウス中央部の気温(1m)、地温(10cm)とも暖房機に近いハウスで0.5〜1℃高く、外気温-5℃以下のときの連続運転時には2℃の差を生じた。
 2. 夜間暖房中のハウス内温度垂直・水平分布:
  ハウス内気温の高さによる差は1℃以内で、水平分布ではダクト吹出側がダクト取入口側より1℃高い程度で、ハウス内温度はかなり均一であった。
 3. ハウス暖房燃料1日当り消費量とハウス内地温:
  本年は11月が一般に暖かく11月前半までは1晩30〜50Lの消費量で、11月後半から消費量が急に増加した。ハウス内地温は11月27日まで10℃前後の温度を保った。
 4. 戸外最低気温と暖房機燃料消費量との関係:
  両者には密接な関係があり、栽培地の最低気温より時期別燃料消費量をある程度推定できると思われる。
 5. 寒冷期における暖房機のハウスカオン能力:ビニ−ル一重張りの条件で、外気が長時間0℃以下の場合、ハウス内気温を外気より10℃以上高く保つことは困難で、-5℃以下が長時間続く時期は、加温能力の限界を超えるものと考えられる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 戸外最低気温と暖房機燃料消費量との関係


 寒冷期における暖房機のハウス加温能力

・ 指導上の注意事項
 1. ハウス間のダクト誘引加温方式では加温面積による燃料消費量に大差ないので、加温能力一杯の面積で利用することが望ましい。
 2. 寒冷期には内張カ−テン、トンネルの使用を考慮する必要がある。