【指導参考事項】
早生桃(生食用)品種に関する試験成績
道南農試園芸科 (白金 茂)
(昭和37〜42年)

・ 目 的
 道南における副業果樹としての導入が考えられたのでこれら品種の適否を知るため。

・ 試験方法
 a、 一区138m2(3樹91区制
 b、 供試品種、倉方早生その他6品種(表出)
 c、 栽培法
   ⅰ、 10a当施肥量88年生樹を成木と見出す。)
      尿素15瓩、熔燐30瓩、硫加20瓩、消石灰50瓩、硫苦(25%)20瓩
      消石灰は4月中旬、その他は5月上旬、全量、草生(ラジノクロ−バ−)上より樹冠下全面に均等散肥。
   ⅱ、 整枝は3本主枝盃状型

・ 試験成果の概要
 ○熟期8月13日より布目早生から2〜3日づつおくれ岡山早生、砂子早生、倉方早生と順次しこれより19日遅れて9月8日白鳳、9月10日大久保、大和早生はもっとも遅く9月16日であった。
  ◎ 収量は白鳳、大久保、大和早生が多く、倉方早生、布目早生が中間、砂子早生、岡山早生は少なかった。
  ◎ 一果重は、大和早生、砂子早生、倉方早生、大久保が大果、岡山早生が中間、布目早生、白鳳は小果であった。
  ◎ 食味では、大和早生が最も良く、ついで大久保、白鳳の順で倉方早生、砂子早生が中間、布目早生、岡山早生は悪かった。
  ◎ 樹勢では、岡山早生、大和早生が強く、白鳳、砂子早生が中間、布目早生、倉方早生、大久保は弱かった。
 以上により
  道南において、生食用早生桃を栽培する場合には、倉方早生、白鳳、大久保、大和早生の4品種の組合せにより8月中旬から9月中旬に至る1ヶ月間、連日収穫により10a当1〜1.5瓩の果実収量が見込まれる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
項 目/
品種名
萌芽期
(月日)
開花期
(月日)
成熟期
(月日)
幹周
(糎)
一樹当 平均
一果重
(瓩)
糖度
(度)
食味 備考
果数
(ヶ)
果重
(瓩)
同比
(%)
布目早生 4.3 5.14 8.13 49 212 34.6 130 155 8.0 不良  
岡山早生 4.2 5.16 8.15 47 58 11.4 43 178 8.1 不良  
砂子早生 4.3 5.15 8.18 40 73 14.9 56 207 8.2  
倉方早生 4.3 5.15 8.20 47 118 26.6 100 205 7.8  
白  鳳 4.3 5.15 9. 8 45 304 30.4 178 167 9.7 ヤ良  
大久保 4.2 5.15 9.10 42 288 28.8 216 189 9.5 ヤ良  
大和早生 4.2 5.16 9.16 46 132 13.2 114 210 11.4  
  注) 幹周は地上30糎高さで測定(7年生樹)果数果重は7年生を成木と見なし、
      7年生以上の平均で示したが、大和早生のみは、6〜7年生の平均で示した。

・ 普及指導上の注意事項
 道南において、生食用早生桃を栽培する場合には、倉方早生以前の早熟種は食味が悪く、大和早生以後の晩熟種は市場の価格が低下するので現状では不適当と考える。