【指導参考事項】
ヨ−ドによる水稲の窒素栄養状態簡易判定法
北海道立上川農業試験場 土壌肥料科
(昭和42年〜43年)

・ 目 的
 寒地における水稲の窒素栄養状態如何は、収量及び安定性両面の支配的要因として極めて大きい意義をもっているが、具体的、かつ、実際的なその検索方法がいまだ明確にされていないため、いまのところ葉色や草姿による外観的なものからそれを推定しているに過ぎない。
 このようなところから、本研究はさしずめヨ−ド・ヨ−ドカリ液をもちいるこの簡易判定法について検討し、窒素分追肥要否決定上の目安をえようとする。

・ 試験方法
 供試品種:ソラチ、ササホナミ、ユ−カラ、フクユキ、シオカリ
 試料の採取及び判定法:
  品種、生育時期、時刻とそのときの天候、窒素施用量を異にする主幹10-30本を採取し、葉位、切断部位別のヨ−ドデンプン反応を検低位すると同時にそれと収量との関係についても明らかにする。なお、ヨ−ドデンプン反応は、切断面を0.25ヨ−ド・ヨ−ドカリ液に3分間浸漬後、呈色強度を判定する。
 また、それと同一試料について全窒素を定量する。

・ 試験成果の概要
 (1) 幼穂形成期における主幹最上位展開葉々鞘(止葉期は上から3LS)8/5部位のヨ−ドデンプン反応強度は、体内N濃度及び収量と極めて高い位負の相関々係にあり、かる再現性の大きいことが認められる。
 しかし、品種によって、幾分、その程度を異にし、ユ−カラ、ソラチ、ササホナミなどでは、より明らかであるが、フクユキ、シオカリはそれに比べて小さいようである。
 (2) いずれにしても所定の部位がヨ−ドデンプン反応を強く現すときは、N含量が相対的に低く、収量もあがらないことになるから、N追肥を要するか、それが望ましいと考えさしつかえなかろう。
 (3) 試料採取は晴れた日のひるさがり(PM1)が適当である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
           品種並びに部位別相関係数(r)の変動(幼形期1LS)



                  玄米重とヨ−ドデンプン反応強度の関係
                       −幼形期(1LS.8/5)−

・ 普及指導上の注意事項
 ヨ−ドデンプン反応による青紫色がみられる限りN追肥効果は期待されるものと考えてよいが、それを行うか行わないかは、天候との関連において決定する必要がある。