【指導参考事項】
水稲移植、収穫作業の機械化に関する研究
(苗の形質および育苗法に関する研究−土壌の種類と土壌反応が苗の生育におよぼす影響−)
北海道農試 農化部、土肥2 (志賀一一・三宅正紀・山口紀子)
         作2部、 水稲2 (斉藤準二)
(昭和43年)

・ 目 的
 箱育苗は従来の保護苗代による育苗と、生育期間、播種密度、土壌量などの諸点で大きく異なっている。このような育苗法においてどのような土壌が適しているか、この土壌条件がどのようなものであるかを明らかにする目的で試験を行った。

・ 試験方法
 泥炭土(美唄)、火山性土(羊ヶ丘、北野)、中粒質沖積土(琴似)、微粒質沖積土(上幌向)、心土(羊ヶ丘)の苗代あるいは本田を含め13種の土壌を用い育苗試験を行い苗生育、苗紐強度、苗素質、活着能力などの調査を行った。播種5月13日、抜取り7月5日、また上記4土壌の本田の土壌を用い、土壌反応を4段階に変化させ同様な調査を行った。播種5月13日、抜取り6月13日。

・ 試験成果の概要
 1. 多くの土壌の中で、苗生育、苗紐強度、移植後活着、養分含量などは、熟圃化したPH4.5附近の苗代土壌がすぐれていた。本田土壌はムレ苗的症状の現れるものがあり、養分含量の低いものが多かった。
 2. 本田土壌のPHを変化させた場合、どの土壌でもPH5附近を越えると、ムレ苗症状が出て生育、苗紐強度、活着が著しく悪くなった。4種の土壌共、PH4.5附近が好適であることが認められた。ムレ苗は保護苗代よりも発生し易いようである。
 3. 以上の結果から、箱育苗用の土壌PHが好適な熟圃化した苗代土壌が良いこと。本田土壌を使用する場合にはPHを4.5附近に矯正し適度の施肥を行うことが必要であることが必要であることを認めた。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
土壌と苗素質 PHと苗素質

・ 普及上の注意事項
 1. PHの矯正法は一般保護苗代の方法に準じ(42年度普及奨励事項)、硫酸あるいは硫黄華を用いて良いが、可能な所では緩衝曲線から必要量を算出し、成可くPH4.5附近に近くすることが望ましい。