【指導参考事項】
高水分小麦の乾燥貯蔵法に関する試験
道立十勝農業試験場 農業機械科(藤田 昭三)
(昭和41〜43年)

・ 目 的
 高水分小麦の乾燥能力を向上するため、放置貯蔵可能な含水率まで乾燥し、その後乾燥を行う方法について検討して来たが、この貯蔵水分を高めることが出来れば、より乾燥能力が高まる。この方法について検討する。

・ 試験方法
 年次別の試験因子及び試験数
年 度/
因  子
41 42 43
熱風乾燥 1 1


常 温 1
低 温 1
減 圧 1
かくはん 1 1
通 風 1

 43年度の試験
1 2 3 4 5
少量 高水分 2ビン利用 3ビン利用 低水分

・ 試験成果の概要
 1) 18%水分のものをわく深さ10cmで堆積した場合常温(20℃)では、2週間貯蔵可能、低温(14℃)では、22%の水分のものでも2週間貯蔵出来る。
 2) 刈取直後の29%のものを6〜10時間毎にかくはんを行えば、25日間は保存可能で、
 3) 減圧貯蔵した場合(25.5%水分3tonビニ−ル袋詰め)は、穀温の上昇は、かんまんで3日間貯蔵出来た。(42年)
 4) 図1に示すごとく各ビンで1次乾燥を行い、その後他のビンに移動し貯蔵を行う。上層と下層の差は若干あるが(図2)移動によりかくはんされ、晴天時に通風すると、長期貯蔵は可能である。
 5) 1次乾燥時のビンの堆積高は1m前後が適当で毎時乾燥率は表層で0.29〜1.47%、下層で1.16〜2.6%であった。
 6) 1ビンの最大量は2.5〜2.7ton(16.7%)である。
 7) 乾燥時燃料1kg当り蒸発水分量は5.29〜17.8kgであった。(43年)

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 乾燥貯蔵試験結果  (43年)




乾燥時間
(時・分)
堆積高
(cm)
乾燥前 乾燥容器
別含水率
(%)
毎時
乾減率
(%/h)
乾燥
後重量
(kg)
蒸発水分量 燃料消費量 燃料1kg
当り蒸発
水分量
(kg)
移動
時間
(時・分)
貯蔵巾
送風
時間
(時・分)
出荷重
(kg)
重量
(kg)
含水率
(%)
総重
(kg)
毎時
(kg/h)
軽油
(kg/h)
白灯油
(kg/h)
1 4 5.15 50 4.635 30.9 25.3
18.0
1.06
2.46
4.128 510 98.2 9.05 9.55 5.29 1.50 37.09 62.331
含水率
16.7%
2 4 10.00 140 11.615 31.8 27.2
13.5
0.46
1.73
10.280 1335 133.5 67.5 6.03 10.45 2.45
2.00
1.45
3 3 8.00 100 8.045 26.9 23.2
13.9
0.46
1.57
7.260 785 98.2 5.81 11.38 11.6 1.30
1.10
4 8.00 110 8.680 26.7 22.2
11.4
0.56
1.90
7.870 810 101.1
4 2 4.10 120 9.305 18.0 15.0
12.6
0.72
1.30
8.910 395 95.0 5.26 11.43 17.8
2.30
1.25
3 5.10 125 9.780 26.2 23.2
16.7
0.58
1.84
8.910 670 129.5
4 5.10 124 9.660 22.2 20.7
16.2
0.29
1.16
9.290 370 71.7
5 4 4.00 120 9.255 21.2 15.3
10.0
1.47
2.80
8.420 835 208.2 6.66 7.65 14.5 1.40


 図1 C型乾燥貯蔵施設の利用型式



 図2 堆積高と層別含水率(最終)



%
                堆積高さcm

・ 注意
 穀物の移送を容易にするため、原料のせん別を良好にする必要がある。