【指導参考事項】
コンバインの利用拡張に関する試験 道立中央農試農業機械部 担当者(桐山 優光) (昭和41年〜43年) |
・ 目 的
水稲の収穫期間中における収穫は、不良な条件が多く、その条件におけるコンバインの調整及び収穫法が損失に如何に影響するか検討する。
・ 試験方法
1. 試験項目 気象及び作物、圃場条件
2. 試験区別及び実施期日
(1) 降雨後における収穫試験 10月1日
(2) 倒伏条件下における収穫試験 10月7日
(3) 夜間収穫試験 10月9日
3. 試験場所 上幌向機械化水田
・ 試験成果の概要
1. 降雨後における収穫試験
10月1日9時までの降雨量は、55.7mmが記録され、その後晴天下で13時より試験を開始した。作物体の付着水は、乾燥時に比較し12%の増加を示し、連続運転の結果、40時間の稼働で収穫不能となり、総員で13.9%に達し、降雨後付着水が認めらるコンバイン収穫は不適当と言える。
2. 倒伏条件下における収穫試験
倒伏角は地上に対し3〜5°、畦に直角に均一な倒伏状態で収穫を実施した。刈取区別は、刈取部に対し、(1)の左倒伏、(2)右倒伏、(3)追刈、(4)向い刈に区別した。
倒伏状態での収穫は、刈取高さに限界があること。作業速度は低速で行うこと。作物水分が不均一であり、こう稈の地面側は濡れた部分が多いこと。供給量が問欠的になり易いこと。以上のことから、脱粒、選別の能力が低下し損失を増加する。収穫損失は、追刈、向い刈で最も多く、総損失で15%を示した。左右倒伏では12%内外であることから、倒伏条件下での収穫は作業能率より精度に主体をおき倒伏方向に対して直角の作業を行う事が望ましい。
3. 夜間収穫試験
試験は18時より開始し、1時30分に降雨のため中止した。その間2時間毎に測定を行い、機械内部の機能状態、損失量につき調査した。夜間の収穫は、湿度、風が作物の含有水分を左右し、湿度85%(田内、作物上30cm)以内で、風速1m/sec内外で降雨がない場合は収穫可能であった。然し、23時以降に降雨があったためコンバイン収穫の限界が確認された。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
(1) 降雨後試験
穀粒口の内容(%)
単粒 | 穂切 | 枝梗付 | 脱ふ | 破 | しいな | |
13:00 | 87.8 | 2.7 | 5.5 | 1.2 | 0.4 | 2.4 |
15:00 | 93.7 | 0.3 | 1.8 | 2.5 | − | 1.7 |
17:00 | 90.7 | 0.5 | 2.7 | 3.2 | 0.1 | 2.8 |
単粒 | 穂切 | 枝梗付 | 脱ふ | しいな | ||
左 倒 |
1 | 84.0 | 4.5 | 5.5 | 3.2 | 2.8 |
2 | 87.8 | 2.5 | 3.9 | 3.6 | 2.2 | |
右 倒 |
1 | 87.4 | 2.6 | 5.3 | 2.4 | 2.3 |
2 | 88.8 | 2.5 | 3.6 | 3.7 | 1.4 | |
追 刈 |
1 | 84.0 | 3.4 | 5.2 | 3.8 | 3.6 |
2 | 88.6 | 1.2 | 4.8 | 3.4 | 2.0 | |
向 刈 |
1 | 87.1 | 2.8 | 4.2 | 4.1 | 1.8 |
2 | 89.3 | 1.9 | 3.5 | 3.1 | 2.2 |