【指導参考事項】
乾牧草調整機械化に関する試験
(昭和43年度)
生理番号  6-4(1)
研究課題  飼料収穫
場所名  北海道農業試験場  農業物理部 機械化第2研究室
課題名  フレイルモ−アの利用に関する試験
試験年次 昭和43年〜

・ 目 的
 フレイルモ−アの作業性能とその利用方式を明らかにし、牧草収穫作業上の参考に資する。

・ 試験方法
 1. 圃場作業能率の調査:圃場作業総時間、回行と停止時間、燃料消費量を計測する。
 2. 切断長分布の調査:刈取り草のサンプルを各長さ別に分け、それぞれ乾物重量を計ってサンプル全乾物重に対する百分率を求める。
 3. 乾燥促進効果の調査:刈取り後の草の含水率を測定する。
 4. 刈取り所要動力の調査:ストレインゲ−ジおよび、コイル巻き磁石と磁場を切る細い鉄片から成る回転計を取付けたトラクタP.T.O延長部とストレインメ−タ−、ラピコ−ダを使用してP.T.Oトルクおよび回転数を測定する。
 5. 泥炭草地における刈取走行性能の調査:サロベツ実験農場で刈取りを行い、同時にSR-2型土壌貫入抵抗値を測定する。

・ 試験結果
 1. 2番草でマメ科草の混入割合が高い場合はレシプロ型モ−アでは草詰まりのため作業効率が低下するが、フレイルモ−アは高い作業効率を示し、圃場作業能率で刈巾が30cm長いレシプロ型モ−アに優る傾向にあった。
 2. 草丈80〜90cmのチモシ−1番草および平均草丈42cmのオ−チャ−ド2番草に対する切断長の分布は、5cm以下の割合は1番草で2〜3%、2番草で7%と小さく、後者において手刈草の草長分布と対比して、40cm以上のもののうち約10%が切断により短くなった。
 3. チモシ−1番草について調査した所、平均草1本当り打撃による損傷度の大なる個所1.0、軽い損傷1.7であった。結局乾燥速度は極めて大きく、手刈り草量1.42t/10aの混播2番牧草では最高気温22℃で晴天日28時間で含水率は20%以下に到達した。
 4. 手刈り草量1.42t/10aの2番牧草の刈取りに対するP.T.O所要動力は、進行速度1.3m/secの時平均14PS、瞬間最大の平均21PS、また進行速度1.8m/secの時はそれぞれ19PS、28PSであった。
 5. 泥炭の造成草地のコ−ン貫入抵抗値は地表面下10cm辺りまで(表層土壌水分64〜65%)大きく、トラクタ自走に十分耐るものであり、昭和36〜37年造成草地でのフレイルモ−ア刈り作業はきわめて容易であった。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 第1表 モ−アとフレイルモ−アの2番草刈取りに対する作業能力の比較
作業機 草量
(t/10a)
草種
(%)
有効作業能率
(ha/hr)
圃場作業能率
(ha/hr)
有効作業効率
(%)
燃料消費
(L/hr)
モ−ア
 (7ft)
1.58 禾本科41 1.60 0.73 46 3.5*
マメ科59 1.57 0.62 39
フレイルモ−ア
 (6ft)
1.42 禾本科73** 1.03 0.75 73 5.8
マメ科27 1.24 0.96 79 6.6
  注) *別調査時の値、**73%のうち枯れ草が23%を占めていた。


 第1図
  フレイルモ−アによる切断長の分布
  (PTO約54.0rpm、進行速度1.03m/sec、
  刈り高3〜20cm、平均10cm、手刈り草
  の225本平均草丈42cm、分布率は乾物
  重量比で、オ−チャ−ドのみについて調査)

 第2表 フレイルモ−アの刈取り所要動力(0.1×10sec平均)
区  分 項  目 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5
3   速 PTO回転数   rpm 526 526 525 512 521
進行速度 平均トルク   kg・m 20.8 17.8 19.8 18.8 19.3
1.29m/sec 瞬間最大トルク 〃 32.2 26.0 30.0 25.4 28.4
平均流量 平均所要動力 PS 15.3 13.1 14.5 13.4 14.1
1.84kg/sec 瞬時最大動力  〃 23.6 19.1 22.0 18.2 20.7
4   速 PTO回転数   rpm 516 516 514 512 514
進行速度 平均トルク   kg・m 24.9 26.5 27.2 17.6 26.6
1.80m/sec 瞬間最大トルク 〃 39.0 27.4 39.0 39.0 38.6
平均流量 平均所要動力 PS 17.9 19.1 19.5 19.7 19.1
2.57kg/sec 瞬時最大動力  〃 28.1 26.9 28.0 27.9 27.7
  (2番牧草、手刈り草量1.42t/10a) (トラクタ馬力52PS)

・ 今後の問題点
 1. フレイルモ−アの切断長分布と乾燥速度および集草・拾い上げロスとの関係
 2. 傾斜地における作業小生能と作業法