【指導参考事項】
乾草品質の評価基準に関する試験成績 北海道農試草地開発部 (昭和28〜43年) |
・ 目 的
年間乳牛に給与する栄養量の15%近くが乾草によって供給されており、乾草の品質の良否は乳牛の栄養生理面や経済生産に大きく影響を有するものである。乾草の品質は刈取時期、調整法、貯蔵法などによって大きな差がある。このため、乾草の総合的な簡易な評価基準を作成し、飼料の合理的、給与、乾草品質改善目標、乾草品質の理解を高めようとする。
・ 試験方法
昭和28年から第1に原料草の各種条件と栄養価、乾草の条件と外観及び栄養の関連について検討し、第2には、これらの結果にもとづいて評価された乾草の評点と栄養価、評点と消化率および採食、刈取期と評点および乾草調製と評点など基準の利学性について検討した。
・ 試験成果の概要
1. オ−チャ−ドグラス、ラジノクロ−バ−など生草について、生育時期と、外観、栄養価の関連、組成分間の相関、刈取期と嗜好性について新知見をえた。すなわち草丈、緑度、葉部割合は栄養価と強い相関がみられた。
2. 代表的4草種の乾草106点について葉部、緑度、茎の直径と栄養価間の単、重相関と回帰式が求められた。
3. 乾草品質評価基準は葉部20点、緑度20点、刈り取りステ−ジ15点、マメ科混入10点、水分10点、触感10点、香気10点、雑草5点の採点方式を採用した。
4. 108点乾草の評点と栄養価を求めたが、評点の高いものほど栄養価、嗜好性、消化率が高い傾向が認められ、利学性が裏付けされた。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
表1. 乾草評点と栄養価
評 点 | 調査例 | 組成(%) | 栄養価(%) | ||||
水分 | 蛋白質 | 繊維 | DCP | TDN | IFU(kg) | ||
25.0〜29.9 | 1 | 20.3 | 5.2 | 33.1 | 2.3 | 37.2 | 4.1 |
40.0〜44.9 | 8 | 17.5 | 7.4 | 27.8 | 3.8 | 41.9 | 3.0 |
50.0〜54.9 | 21 | 17.9 | 8.1 | 26.9 | 4.1 | 40.9 | 3.0 |
60.0〜64.9 | 25 | 16.5 | 9.7 | 26.0 | 5.4 | 45.1 | 2.4 |
70.0〜74.9 | 18 | 17.4 | 12.4 | 22.2 | 7.9 | 49.9 | 2.1 |
80.0〜84.9 | 9 | 16.3 | 15.4 | 22.0 | 10.6 | 54.1 | 2.0 |
90.0〜94.9 | 2 | 15.4 | 16.7 | 21.3 | 11.4 | 56.4 | 1.8 |
刈 取 | 調査例 | 組成(%) | 栄養価(%) | ||||
水分 | 蛋白質 | 繊維 | DCP | TDN | IFU(kg) | ||
1番刈乾草 | 106 | 16.1 | 8.9 | 26.7 | 4.9 | 44.1 | 3.1 |
2番刈乾草 | 61 | 17.9 | 12.4 | 23.7 | 7.7 | 48.1 | 2.4 |
3番刈乾草 | 17 | 16.7 | 14.0 | 21.8 | 9.4 | 54.9 | 1.8 |
・ 普及指導上の注意事項
1) 本評価基準は
①農家生産乾草品質の理解と改善点
②牧草生産利用共励会
③乾草品質共励会
④乾草品質の実態
⑤飼料給与時における栄養価の推定
⑥普及と教育などに用いられよう。
2) 実施にあたっては経験者から指導をうけた。
3) 1番刈乾草で55点、2番刈乾草70点、3番刈乾草75点以下の乾草は今後改善するよう技術者から指示をうける。