【指導参考事項】
夏放牧育成の効率査定に関する試験成績
天北農試 草地科 (寒河江洋一郎・及川寛)
       管理科 (渡辺正雄)
(昭和40〜)

・ 目 的
 本試験は前年度の(「60日令放牧におけるならしとカ−フスタ−タ−給与量について」)を継続したもので、処理による1年目放牧期の発育の差異が、その後の発育にどう影響するかを明らかにするために行った。同時に冬期舎飼養の群を設けて比較した。

・ 試験方法
 1. 試験期間   昭和42年5がち1日〜昭和43年10月18日
 2. 供試牛     4月下旬生まれのホルスタイン雄子牛(3ヵ月例去勢)15頭
 3. 飼養経過
    42年度    43年度
初期舎飼期   1年目放牧期    冬期舎飼期   2年目放牧期




哺育飼料 昼夜放牧+スタ−タ− 乾牧草
A  50kg(1.8kg×28日)



飽食(4→7kg/頭日)





昼夜放牧
B 25(1.8×14)
C 十生草ならし(28日) 0
D 0
E 50(1.8×28) 制限(3→4)


・ 試験成果の概要
 1. 60日令からの完全放牧育成は可能だが、1年目放牧期前半での発育停滞の影響は出荷時(18ヵ月令)まで継続した(D群)
 2. 冬季舎飼期での制限飼養による発育停滞の影響も継続した(E群)。
 3. 肉利用のための雄子牛育成の場合には粗飼料主体の育成方式であっても、極端に濃厚飼料を節減することは不利なようだ。1年目放牧期および冬季舎飼期における補助飼料の適切な給与が必要であろう。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 体重の推移
1年目放牧開始時
(2.0ヵ月令)
冬季舎飼開始時
(5.6ヵ月令)
2年目放牧開始時
(12.7ヵ月令)
出荷時
(18.0ヵ月令)
A 82.0 158.0 241.3 401.3
B 80.0 150.0 229.3 395.3
C 80.7 148.7 225.3 392.7
D 78.3 1360 212.0 372.7
E 76.7 151.3 200.7 360.0

 2. 飼養期別の増体量と日増体量
1年目放牧期
(107日)
冬季舎飼期
(213日)
2年目放牧期
(160日)

(480日)
A 76.0kg(100)
0.71kg/日
93.3(100)
0.39
160.0(100)
1.00
319.3(100)
0.67
B 70.0(92)
0.65
79.3(95)
0.37
166.0(104)
1.04
315.3(99)
0.66
C 68.0(99)
0.64
76.6(92)
0.36
167.4(105)
1.05
312.0(99)
0.65
D 57.7(76)
0.54
76.0(91)
0.36
160.7(100)
1.00
294.4(74)
0.61
E 74.6(98)
0.70
49.4(59)
0.23
159.3(100)
1.00
283.3(89)
0.59
  注) ( )の数字はA群を100とした指数

 3. D群を基準とした1年目放牧開始時からの増体量の差
1年目放牧終了時 冬季舎飼終了時 2年目放牧終了時
A +18.3kg +25.6 +24.9
B -12.3 +15.6 +20.9
C -10.3 +10.9 +17.6
D − 
E +16.9 -9.7 -11.1

・ 普及奨励および指導参考上の注意事項
 昨年、指導参考資料となった。