【指導参考事項】
イネ科牧草(レッドトップ)に対するシロクロ−バ−N移譲の品種間差異 根釧農試 (昭和40年〜43年) |
・ 目 的
粗放管理下におかれる大規模草地ではできる限り安価な肥料で維持しなければならないので、窒素はクロ−バ−の固定したのもを利用し、施肥の節減をはかることが得策である。ここでは収集した13種のシロクロ−バ−について、収量およびイネ科牧草へのN移譲量などを検討し、適品種選定の参考にしようとした。
・ 試験方法
供試品種: | 13種(Ladino型4種、Common型9種) |
試験区別: | (1)シロクロ−バ−単播 13品種×無窒素系列 窒素施用系列 (2)レッドトップとの混播 13品種との混播×無窒素系列 窒素施用系列 (但−シロクロ−バ−単播および混播の窒素施用系列は昭40〜41年のみで中止) |
試験方法: | 1区9m2 乱塊法 播種量(kg/10a) 単播 シロクロ−バ−0.5 混播(シロクロ−バ−0.3 レッドトップ0.5)レッドトップ単播0.5 施肥(kg/10a) N施用系列は刈取毎2 P2O5、K2Oは年間5.28(2年目のK2Oは1.5) 播種 昭和40年7月5日 刈取調査41年3回 42・43年は4回づつ |
・ 主要成果の具体的デ−タ−
品種 NO. |
発芽率 (%) |
単播時の マメ科収量 (kg/10a) |
混播時の 収量 (kg/10a) |
混播時の マメ科収量 (kg/10a) |
収量の 推移 |
マメ科の 混生割合 (%) |
N移譲 (kg/10a) |
跡地の 易分解性 N(mg/100g) |
総合 評価 |
1 | 91 | 136 | 2205 | 1222 | ○ | 53 | 3.51 | 31.6 | ○ |
2 | 14 | 140 | 1897 | 1179 | × | 65 | 1.63 | 31.0 | |
3 | 24 | 111 | 2130 | 1076 | ○ | 49 | 3.61 | 32.4 | ○ |
4 | 82 | 116 | 2084 | 1237 | ○ | 57 | 2.39 | 31.0 | ○ |
5 | 89 | 67 | 1568 | 566 | × | 28 | 3.87 | 29.9 | × |
6 | 30 | 83 | 1543 | 638 | ○ | 41 | 2.39 | 25.3 | × |
7 | 46 | 99 | 1639 | 666 | 41 | 2.65 | 30.0 | ||
8 | 40 | 98 | 1693 | 679 | ○ | 38 | 3.24 | 31.9 | ○ |
9 | 16 | 103 | 1740 | 664 | 34 | 3.23 | 30.2 | ○ | |
10 | 34 | 95 | 1672 | 723 | ○ | 43 | 2.83 | 28.5 | ○ |
11 | 76 | 66 | 1480 | 516 | × | 29 | 2.78 | 29.9 | × |
12 | − | 60 | 1558 | 645 | 39 | 3.47 | 31.7 | ○ | |
13 | 93 | 85 | 1609 | 621 | × | 26 | 2.49 | 25.1 | |
備考 | 2年目 3番草 の風乾 収量 |
2〜4年目 の合計風乾 収量 |
同左 | 収量の 年次間 季節別 収量変動 |
3〜4年目 の合計収量 について |
3年目 のNの 移譲量 |
3年目跡地 の培養後の 増加 |
・ 普及指導上の注意事項
大規模草地ではその管理上多量の施肥が困難であり、また施肥回数も省力化することが望まれている。このような大規模でかつ永年利用を目的とする放牧草地への導入マメ科草は収量とともに永続性、放牧抵抗性などからシロクロ−バ−系のものがえらばれている。しかし、このような大規模草地に導入する品種は、収量、永続性とともにN移譲の高いものをえらぶ必要がある。
近年初期の収量確保に重点をおき、初期収量の高いLadino型を導入する場合が多いが、永続性や放牧抵抗性の点ではCommon型を入れることが必要と考えられ、この際にN移譲量の多いものと選択すべきであろう。