【指導参考事項】
オ−チャ−ドグラスの最終刈取時期に関する試験
北農試畑作部家畜導入研究室 (帰山 幸夫外)
(昭和39〜42年)

・ 目 的
 牧草の栽培技術の向上とともに、利用期間も延長し9月末〜10月にも刈取利用される例が多い。その場合の刈取時期が翌年の収量に与える影響について検討し秋の草地管理の資料に供する。

・ 試験方法
 試験区に供試した草地は、1963年春にオ−チャ−ドグラス2kgを撤播によって造成し、64〜66年に1・2番草を同一時期に刈取った草地の3番草の刈取時期について検討した。
 各処理区の刈取時期は次表の通りであった。
区別 1964 1965 1966
1 C 9月2日 9月2日 9月2日
2 C 9月12日 9月13日 9月13日
3 C 9月25日 9月25日 9月25日
4 C 10月9日 10月11日 10月11日
5 C non non 10月24日
  1区面積  20m2  4反復

・ 試験成果の概要
 (1) 秋期における牧草の収量推移は、乾物収量では9月初旬〜下旬まで増加したが、その後は停滞する。生草収量、粗蛋白収量は9月下旬〜10月初旬に減少した。
 (2) 1年間合計の乾物収量は、3番草の刈取区に比較し、無刈取区は低かった。最終刈取時期間では、9月上中旬に刈取った場合の収量は低かった。
 (3) 越冬前後の施肥時期は、越冬直後の施肥が良かったが、訴状凍結との関連で決定したがい。しかし、秋の刈取りを行った場合には越冬直前の施肥が良いように考えられる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 第1表 最終刈取時期が1番草の収量に与える影響 (kg/10a乾物)
区 別 9月2日 9月12日 9月25日 10月9日 non
1965年 374 345 414 403 452
1966年 181 178 225 303 411
1967年 331 384 361 396 416
平 均 295 302 333 367 426

 第2表 最終刈取時期が1年間合計収量に与える影響 (kg/10a乾物)
区 別 9月2日 9月12日 9月25日 10月9日 non
1965年 936 900 1029 1089 793
1966年 677 683 811 885 661
平 均 807 792 920 987 727

 第3表 肥培管理と刈取が1番草に与える影響 (kg/10a) 1965・1966年平均
区 別 9月2日 9月12日 9月25日 10月9日 non
秋春同量追肥 乾物 488 482 559 611 601
指数% 81 80 93 102 100
春追肥 乾物 307 281 335 341 443
指数% 69 63 76 77 100
  ※ 秋春同量追肥(N量合計11〜12kg/10a) 春追肥(N量6.8〜6kg/10a)

・ 普及指導上の注意事項
 秋期における草地管理は、翌年の収量を確保するため重要であるが、牧草の生理生態上から
 1) 年内に刈取利用期に達する極力利用する方が有利である。
 2) 秋の刈取は翌年の1番草の収量減を伴うが肥培管理により回避することができる。そのためには次の諸点を注意されたい。
  (1) オ−チャ−ドグラス主体草地では9月上中旬、チモシ−主体草地では10月上中旬の利用は避ける。
  (2) 降霜が度重なると飼料組成も悪化するので、降霜後は早く利用することが肝要である。
  (3) 秋の追肥は、刈取後約15cm以上再生するような施肥時期は避け、越冬直前に行う。