【普及奨励事項】

チモシ−「北系4305号」に関する試験成績 北海道立北見農業試験場　牧草科　(牧草育種指定試験地) (昭和39〜43年)

・　育種目標
　早生大葉、多収性を育種目標とし、オ−チャ−ドグラス、赤クロ−バとの刈取時期の一致を考慮して選抜した。

・　来　歴
　育種材料：
　　北農試畜産部(真駒内)がソ連ウクライナ地方より導入した系統で、その後江別市西野幌機農高校(小川義雄氏)で保存されたものである。
　昭和18〜22年：
　　上記母材から150個体を選抜。以後集団選抜法によった。
　昭和23〜25年：
　　集団種子を用いて収量、均済性、原種生産を実施。No2群に対して「雪印改良1号」とした。以後集団濁汰と採種々子の生産力検定を実施して来ている。(以上雪印種苗KKの資料による)
　昭和41〜43年：
　　チモシ−系適に参考品種として供試(この間雪印種苗KKで「北王」と改名している)

・　特　性
　1.　早生品種に属し、熟期は北海道在来種なみであり、Climaxよりやや早い。
　2.　草型は採草型、茎数はやや多い。また葉部率は北海道在来種程度でClimaxよりやや低い。
　3.　耐病性は北海道在来種程度である。
　4.　収量は比較的多収を示し、生草収量においては北系4305につぎ、北海道在来種Climaxより多収である。乾物収量は北4305なみで多収品種に属する。
　5.　2・3番草の再生性が比較的良好である。

・　主要成果の具体的デ−タ−
　雪印改良種(北王)の各系適試験地における3年間合計収量(昭和41年〜43年)

	品　種/ 系統名	根 釧	北 見	天 北	天 塩	北 農 試	青 森	山 形	合 計	同左 比率	天北・青森 を除く合計	同左 比率
生 草 収 量										(1)		(1)
	雪印改良種(北王)	764	889	745	1.653	786	993	1.521	7.301	111	5.623	112
	北海道在来種	659	815	751	1.426	686	843	1.430	6.610	100	5.016	100
	climax	676	842	869	1.505	710	797	1.420	6.819	103	5.153	103
比 率		(2)	(3)	(9)	(1)	(1)	(1)	(1)	注)収量比欄(　)内数値は 　　　供試12系統中の順位 　　　を示す
	雪印改良種(北王)	116	110	99	116	115	111	106
	北海道在来種	100	100	100	100	100	100	100
	climax	103	103	116	106	104	95	99
風 乾 収 量	有意性	**	**	n.s	**	n.s	n.s	n.s
	C.V%	607	461	15.02	394	662	10.07	495
	L.S.D5%	69	65		101
	1%	94	89		138
										(2)		(2)
	雪印改良種(北王)	198	220	220	366	212	251	336	1.800	109	1.332	111
	北海道在来種	179	202	221	317	186	233	312	1.650	100	1.196	100
	climax	184	202	245	323	189	216	315	1.674	102	1.213	101
比 率		(1)	(3)	(6)	(2)	(2)	(1)	(2)
	雪印改良種(北王)	111	109	100	115	114	108	108
	北海道在来種	100	100	100	100	100	100	100
	climax	103	100	111	102	102	93	99

・　適用地帯並びに栽培上の注意
　適用地帯は北海道全域とする。特に根釧内陸部においては他の品種より著しくすぐれた成績を示すものと期待される。北海道在来種、Climaxにおきかえうる品種である。栽培上の注意点として特にあげるものはない。北海道在来種やClimaxに準ずればよい。(東北地方においても極めて多収を示し、すでに青森県で奨励品種採用が予定されている。)