【普及奨励事項】
水稲「北育糯47号」に関する試験成績
(昭和36〜44年)
             北見農業試験場

・育種目標
 本系統は上川農試において昭和36年に「ユ−カラ」を母とし、「上育230号」を父として人工交配を行い、昭和37年に温室にてF2を養成し、昭和37年に一般田、38年に冷水掛流し田で集団養成栽培を行った。昭和39年に北見農試でF4集団の1部を譲りうけ、個体選抜を行い以来選抜固定をはかり、昭和41年に「北系4129」の系統番号を附して生産力検定予備試験に供試すると同時に特性検定試験に編入、昭和42年「北育糯47号」の系統番号を附して生産力検定試験に供試するとともに、道内試験機関において適応性を検定。昭和43、44年には奨励品種決定基本調査および現地調査により地方適否を確かめたもので、昭和44年度でF9である。

・特性概要
品種名
または
系統名
熟 期 草型 ふ先色
出穂 成期 長さ 細太 剛柔 長さ 粒着 ふ色 多少 長短
北育糯47号 中生の晩 中生の中 穂数 ヤ短 黄白 稍少 黄白
はやもち 中生の早 中生の早 偏穂数 稍剛 稍密 赤褐
双豊糯 中生の晩 晩生の早 穂数 稍長 極短 黄白

品種名
または
系統名
玄  米 いもち 耐冷性 耐倒伏性
形状 大小 色沢 品質 穂節 障害 遅延
北育糯47号 中上上 稍弱 稍強 稍強 稍強
はやもち 稍円 稍白 中上下 稍弱 稍弱 稍弱
双豊糯 中上中 中〜稍弱 中〜稍強 中〜稍弱

・主要成果の具体的デ−タ−
 北見農試成績
品種名
または
系統名
出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期 a当玄米重 はやもち対比 玄米
千粒重
不稔
歩合
いもち
稈長 穂長 穂数 中肥 多肥 中肥 多肥
北育糯47号 8.3 42.9.21
43.9.30
44 達せず
62.0 15.6 23.3 50.3 53.3 100 99 19.4 25.8
はやもち 8.2 9.23 69.8 16.2 19.8 50.6 53.9 100 100 19.2 28.1
双豊糯 8.3 42.9.23
43.9.30
44 達せず
68.3 18.3 23.5 47.3 45.4 93 84 18.6 39.4
  注)中肥:昭和42-44年平均  多肥:昭和43、44年平均

現地試験における成績(昭和43、44年平均)
 北見農試担当分
  品種名
または
系統名
北見 佐呂間 遠軽 留辺蘂 端野 美幌 女満別 滝上



(月
日)
北育糯47号 8.4.5 8.7.5 8.6.5 8.6 8.2.5 8.2.5 8.9 8.6.5
はやもち 4.5 6 6.5 6 7.31 7.31 8.5 2.5
双豊糯 3 6.5 6 7 8.1.5 8.2.5 8 3.
a




(kg)
北育糯47号 56.5 37.8 40.4 42.1 47.5 47.9 42.9 39.2
はやもち 55.5 38.0 39.8 39.3 46.0 45.1 37.6 41.1
双豊糯 46.2 31.8 35.7 34.9 42.4 46.1 40.0 36.3
  注)女満別、滝上は昭和44年が植えいたみの影響が特に著しく、生育・収量の乱れが大きかったが参考としてのせた。

 上川・十勝農試担当分(上川・十勝農試は昭42〜44年平均)
  名寄 風連 幌加内 上川 占冠 日高 音更 池田 上川農試 十勝農試



(月
日)
北育糯47号 8.5 8.3 8.4 8.7.5 8.10 8.3.5 8.1.5 8.9 8.2.5 8.2
はやもち 10.5 2 7 3 7.31
双豊糯 8.3 8.1 8.6 8.2 4 8.5 2 31
かむいもち 8.15 11.5 1.1
a




(kg)
北育糯47号 33.7 46.5 38.6 39.4 36.5 42.7 39.1 49.4 50.6 44.0
はやもち 37.1 37.5 52.6 48.4 43.8
双豊糯 41.0 42.1 37.5 40.5 41.9 46.7 45.0 42.2
かむいもち 31.3 39.3 36.5

・適応地帯並びに栽培上の注意
 栽培適応地帯
  網走管内・十勝管内・上川管内北部・留萌管内北部で「はやもち」「双豊糯」が作付されている地帯に抵抗し、この地帯の「はやもち」「双豊糯」とおきかえる。
 栽培上の注意
 (1)いもち液に対する抵抗性が弱いので、各地帯の防除基準にのっとり完全防除が必要である。また、多肥栽培はさけること。
 (2)植えいたみなどによって、穂揃性が悪くなる傾向がみられるので健苗育成、栽培株数、1株苗立数は各地帯の基準を確保するなどして、この傾向を補うことが必要である。