【指導参考事項】

水稲の紙筒移植栽培に関する試験 (1)　作期と品種に関する試験 道立十勝農試　作物科

・　目　的
　作期と品種を異にした紙筒移植栽培の生育相を、普通冷床苗と比較検討し、当地帯における紙筒移植栽培の適応性を知る。

・　試験方法

昭　43				昭　44
品種名	育苗方法	播種期	移植期	品種名	育苗方法	播種期	移植期
きよかぜ はやゆき はつとかち かちほなみ ふくゆき	紙筒 育苗	5月2日	5月22日 (20日苗)	十育29号 かちほなみ しおかり	紙筒 育苗	4月26日 5月3日	5月21日 (25日苗)
	普通冷 床育苗	4月23日	5月23日 (30日苗)		普通冷 床育苗	4月24日	5月27日 (33日苗)

・　試験成果の概要
　1.　苗賃
　　　　紙筒苗は苗床日数短いため、普通冷床苗に比べ品種、作期を間かず苗賃は劣った。育苗日数では、20日苗に比べ25日苗が優り、播種時期を異にした、同一日数では大差がみられなかった。
　2.　本田生育
　　　　紙筒苗区は普通冷床苗区に比べ、草丈が低いが、茎数は生育期間より優り、穂数も多い。育苗日数と播種時期の間には大差はみられない。熟期については、育苗日数の長い普通冷床苗が早く、育苗日数および播種時期間には大差はない。
　昭和43年の紙筒苗区は普通冷床苗区に比べ各品種共に劣り、育苗日数では各品種20日苗に比べ25日苗が全般にやや優った。
　昭和44年は紙筒苗区と、普通冷床苗の平均値では大差がみられない。

・　主要成果の具体的デ−タ−
　1.　紙筒と播種量に関する試験
　　(1)　苗質調査

1ポット当 播種量	草丈 (cm)	第1 鞘高 (cm)	葉数 (枚)	茎数 (本)	1ポット当 苗立本数 (本)	100本当(g)
						生草重	風乾重
1粒播	8.9	2.4	2.9	1	1.0	8.0	2.14
2　〃	9.1	2.7	2.8	1	2.0	8.8	2.00
3　〃	8.7	2.4	2.8	1	3.0	9.0	1.98
4　〃	8.9	2.6	2.7	1	4.0	6.8	1.68
5　〃	8.9	2.9	2.1	1	5.0	5.8	1.56

　　(2)　生育および収量調査

1ポット当 播種量	茎数および穂数(本)				出穂期 (月日)	a当 玄米重 (kg)	仝左 比率 (%)
	6月14日	7月4日	7月17日	9月20日
1粒播	1.7	8.1	16.2	16.2	18.8	7.31	83
2　〃	2.4	10.2	21.5	21.5	22.4	.31	94
3　〃	3.0	13.1	13.1	26.1	24.8	.30	100
4　〃	4.0	16.3	16.3	29.7	26.9	.30	95
5　〃	5.0	18.4	18.4	31.4	27.5	.30	95

　2.　苗床追肥に関する試験

苗床 日数	苗床 施肥法	苗質調査			100本当 風乾重 (g)	7月17日		穂数 (本)	出穂期 (月日)	玄米 収量 比率 (%)
		草丈 (cm)	葉数 (枚)	茎数 (本)		草丈 (cm)	茎数 (本)
紙筒 20日苗	基肥	8.6	2.9	1.0	1.82	45.0	19.9	20.8	7.31	100
	基肥＋追肥	9.9	3.1	1.0	2.08	44.2	20.9	21.1	.28	114
紙筒 25日苗	基肥	10.7	3.1	1.0	2.34	47.6	18.7	20.2	.30	100
	基肥＋追肥	11.5	3.3	2.2	2.62	47.6	21.2	20.7	.30	103
	無肥	8.4	2.7	1.0	1.78	37.0	15.4	20.1	8 .6	79
紙筒 30日苗	基肥	10.8	3.5	1.0	2.76	45.4	23.3	23.0	7.31	100
	基肥＋追肥	10.7	3.4	2.4	3.08	44.0	25.2	23.6	.30	106

　　注)　玄米収量比率は各苗日数の基肥区を標準とした。